自然科学研究科博士前期課程

自然科学研究科博士前期課程

 

修了認定?学位授与の方針 DP(ディプロマ?ポリシー)

 

◆人材育成の目的?学位授与の方針

?人材育成目標(社会における顕在?潜在ニーズ、卒業生が身につけるべき資質?能力)?学位授与の方針

 

 自然科学研究科博士前期課程では,科学?技術の発展と持続可能な社会の実現に俯瞰的?総合的視点から寄与できる創造性豊かな高度技術者?研究者及びグローバルな視野を持って地域社会の発展に貢献できる人材を育成します。その教育では,理学,工学,あるいは生物資源科学の高度な専門知識と技術,社会において新たな科学?技術を創成する能力,そして平等な社会の構築に向けた持続可能な技術開発力を養成します。この教育の実現に向けて本課程には,理工学専攻,環境システム科学専攻,および農生命科学専攻の3専攻を設け,それぞれにおいて社会の多様な要請に応えるための教育コースを置いています。各教育コースにおいて定めた所定の単位数を修得し,さらに修士論文研究の審査及び試験に合格して下記の資質?能力を身につけた者に対して修士の学位を授与します。

 

?目標としての学修成果

 

 自然科学研究科博士前期課程において授与する,修士(理学),修士(工学),あるいは修士(生物資源科学)に求められる学修成果を次に示します。

 

修士(理学)

  1. グローバルで多角的な視野と学際的な幅広い見識,高い倫理観を備え,各専門分野の課題に取り組む実践力を有している。
  2. 英語文献から専門知識等を習得?理解することができ,さらに英語による基礎的なコミュニケーション能力を有している。
  3. 数理科学,物理学,化学あるいは地球科学に関する理学の高度な専門知識と技術を身につけている。
  4. 各専門分野における知識と技術に基づいた創造的な研究能力,論理的思考能力,問題解決能力を有し,国内外の様々な産業界の需要に応えられる高度な専門技術や専門知識を身に付けている。
  5. 研究成果や自らの思考を論理的に説明するための高度なプレゼンテーション能力と高いコミュニケーション能力を有している。
  6. 豊かな教養と国際感覚を持ち,専門分野の社会的意義を理解して人類社会や地球環境とのかかわりについて総合的に考え,専門分野を通じて平等な社会の構築に向けた持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できる。

 

修士(工学)

  1. グローバルで多角的な視野と学際的な幅広い見識,高い倫理観を備え,各専門分野の課題に取り組む実践力を有している。
  2. 英語文献から専門知識等を習得?理解することができ,さらに英語による基礎的なコミュニケーション能力を有している。
  3. 情報科学,機械工学,電気電子工学,建築学,物理学または化学を基礎とした材料工学?デバイス工学あるいは地球科学を基礎とした自然災害工学に関する工学の高度な専門知識と技術を身につけている。
  4. 各専門分野における知識と技術に基づいた創造的な研究能力,論理的思考能力,問題解決能力を有し,国内外の様々な産業界の需要に応えられる高度な専門技術や専門知識を身に付けている。
  5. 研究成果や自らの思考を論理的に説明するための高度なプレゼンテーション能力と高いコミュニケーション能力を有している。
  6. 豊かな教養と国際感覚を持ち,専門分野の社会的意義を理解して人類社会や地球環境とのかかわりについて総合的に考え,専門分野を通じて平等な社会の構築に向けた持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できる。

 

修士(生物資源科学)

  1. グローバルで多角的な視野と学際的な幅広い見識,高い倫理観を備え,各専門分野の課題に取り組む実践力を有している。
  2. 英語文献から専門知識等を習得?理解することができ,さらに英語による基礎的なコミュニケーション能力を有している。
  3. 生物学を基礎とした環境共生科学,生命科学あるいは農林生産学に関する生物資源科学(生物学と農学を融合した学問体系)の高度な専門知識と技術を身につけている。
  4. 各専門分野における知識と技術に基づいた創造的な研究能力,論理的思考能力,問題解決能力を有し,国内外の様々な産業界の需要に応えられる高度な専門技術や専門知識を身に付けている。
  5. 研究成果や自らの思考を論理的に説明するための高度なプレゼンテーション能力と高いコミュニケーション能力を有している。
  6. 豊かな教養と国際感覚を持ち,専門分野の社会的意義を理解して人類社会や地球環境とのかかわりについて総合的に考え,専門分野を通じて平等な社会の構築に向けた持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できる。

 

?専攻?教育コースの教育目標

 

 理工学専攻,環境システム科学専攻,あるいは農生命科学専攻の各教育コースでは,上記で示した自然科学研究科博士前期課程の人材育成?学位授与の方針,そして求められる学修成果に基づきながら次のような具体的な教育目標を定めています。

 

理工学専攻

 

 理工学専攻では,数理,物理,情報の基礎知識を身に付け,その知識を基に,数理科学,物理学,情報科学,機械工学,電気電子工学,材料工学の発展に寄与し,新たな科学技術や社会の創造に貢献できる国際感覚に優れた高度技術者?研究者を養成します。その実現のために本専攻では,先端材料工学コース,数理科学コース,知能情報デザイン学コース,物理?応用物理学コース,機械?電気電子工学コースを設置しています。

 

先端材料工学コース

 材料科学について基礎から応用までの幅広い知識を身につけ,多様な社会の要求に対応できる人材を育成します。そのために理論的な下地となる材料計算,物を作る上で重要な材料創成,材料を理解するために必要な材料評価を基にした教育および研究を行います。また,理学的な基礎科目だけでなく,材料科学の周辺要素である経営や語学等の教育にも力点を置きます。本コースは地域からの要望の高い「金属材料」や「ナノ材料」,「半導体材料」と言った領域で産業界と連携した教育を行います。

 

数理科学コース

 学部で学び習得した数理科学の知識を土台とし,長い歴史と豊かな拡がりをもつ数理科学の内容についてさらに高度な理解を追求すると同時に,そこに課題を見出し,その解決を得るための研究推進を体得します。数理科学では,抽象化を広げる方向,仮定の見直しなど理論的枠組みを汎化していく方向,より利便的な同値命題の探索,現象解明の道具としての数理科学的思考の導入など,様々な研究方向がある中で,その多様性を理解しつつ,自らの研究課題を明確化し,論理を駆使して緻密に課題解決に接近する姿勢を身につけます。演繹的手法と帰納的手法を駆使し,数値的検証を重ねながら,数理科学それ自体の深化と緒現象解明に取り組める人材を養成する教育を行います。

 

知能情報デザイン学コース

 情報学の基礎から応用までの知識を身につけ,データサイエンスやIoT などの情報技術の活用により,社会的課題の解決や社会からの期待の実現に向けた企画?提案を行うことができる高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,情報論理学や計算量理論などにより基礎理論を学び,これらをベースとしてネットワーク,機械学習,システム設計などの中核技術についての原理と応用を習得する科目を展開する形としています。さらに,福祉,データマイニング,プログラム解析技術などを扱う科目を配して,多岐にわたる分野を俯瞰できるよう工夫しています。

 

物理?応用物理学コース

 物理?応用物理学コースでは,価値の創造(工学的素養)は真理の探究(理学的素養)を基盤として最大の力を発揮することを踏まえて,物性物理学,素粒子物理学の理論的な教育研究,および,物性物理学,応用物理学の実験的?評価的な教育研究を行います。これには地域貢献が期待できるナノテクノロジー,エネルギー関連,電子デバイスに関する教育研究が含まれます。これらを通じて,理学としての基本原理の修得と探究心,工学としての応用力?展開力,および,両者を統合する視点を身に付けた,グローバル化の中での地域の課題解決と振興を担える人材を養成します。

 

機械?電気電子工学コース

 機械?電気電子工学コースでは,機械工学及び電気電子工学の分野から幅広く科目を選択して専門的に深く学ぶと共に,これらの分野における先進的な研究を行います。このようにして,学生が,ものづくりを支える重要な学問分野である二つの工学分野に関する豊富な知識としっかりとした実践力を身につけられるようにしています。それにより,知能化?高機能化が求められる時代の高度な社会基盤の構築及びものづくりに貢献できる人材の育成を目指します。

 

環境システム科学専攻

 

 環境システム科学専攻本専攻では,地球科学,環境共生科学,化学,建築学の基礎知識を身に付け,その知識を基に,環境と調和したより豊かな社会の構築に貢献する,実践力と創造力を備えた国際感覚に優れた高度技術者?研究者を養成します。その実現のために本専攻では,地球科学コース,環境共生科学コース,物質化学コース,建築デザイン学コースを設置しています。

 

地球科学コース

 地球環境システム,太陽系の中の1惑星としての地球の環境から,島弧としての大发体育列島にある地域の環境までの空間的広がり,また,46億年前の地球形成から今日まで,さらに将来の環境予測を含めた地球史観的(時間的)広がりの両者を包括した意味の環境を,地質学をベースとしてアプローチします。具体的にはフィールドを基礎とした先端地球科学(地質学?岩石学?鉱物学),過去から現在の地球環境の復元と計測,環境の未来予測,金属?非金属?エネルギー資源の成因とその開発,自然災害発生メカニズムの解明,また防災?減災のための技術や工法についての教育を行います。

 

環境共生科学コース

 環境共生科学コースでは,自然と人間が真に共生する豊かな21世紀型社会の実現に向けて,生活環境,生産環境,自然環境を構成する様々な資源(水,大気,土壌,エネルギー,施設,機械,情報,動物,植物,微生物等)に関する学術,産業,教育,地域文化等に貢献できる研究者?技術者を目指す学生を求めます。本コースでは,環境資源を多角的に理解,評価,管理,保全,改善できる高度な見識と学力を有し,かつ確固たる責任感と倫理観をも備えた人材を育成する教育を行います。

 

物質化学コース

 物質化学コースは,環境と調和したより豊かな社会の構築に寄与するため,化学及びその周辺領域の専門知識と応用力を身につけた高度技術者?研究者の養成を目的とし,以下の項目の修得を教育目標として教育を行います。

1.物質や反応の原子?分子レベルからの合理的な解析?理解,環境中の物質の分析や機能をもった物質の開発等を行うための,化学の基礎から応用にわたる高度な専門知識?技術

2.問題点を分析し,課題を設定?解決できる能力

3.地域から地球規模にわたる社会での問題に対し,化学の果たす重要性?役割を理解し,倫理観を持って行動する能力

4.論理的な記述力とグローバルなプレゼンテーション能力及びコミュニケーション能力

5.広い視野を持って自然科学?科学技術を持続的に学び,その発展に貢献できる創造性

 

建築デザイン学コース

 建築デザイン学コースでは,地域に根ざした建築学を目指しており,実在の都市や建築に即した実践的な教育を行うために,企業や行政と連携しながら,フィールドに重点をおいた教育を行います。安全な暮らしに求められる耐震設計,地域産材である木材の活用と伝統工法の継承,人と環境にやさしい住まい,地域資源を生かした建築都市空間の整備/まちづくりといったさまざまな地域課題を解決するために,建築デザイン学分野における高度な専門知識を実践的に応用できる人材を育成します。

 

農生命科学専攻

 

農生命科学専攻では,生命機能を科学する能力を備え,農林生産物を利活用するための高度な専門知識?技術?課題解決能力を有し,かつ国際感覚に優れ自立的で人間性豊かな高度技術者?研究者を養成します。その実現のために本専攻では,生命科学コース,農林生産学コースを設置しています。

 

生命科学コース

 共通科目の履修により,英語力,数理?情報能力を高めるとともに広範囲な自然科学分野の理解を深めます。専門科目の履修により,生命分子の化学的な解析手法から,微生物,植物,動物に渡る広範囲な生物種の基本的メカニズムや多様性を学び,生命科学分野の理解を深めます。セミナーでは,国際誌に掲載されている最新の研究論文を精読し,研究の背景を十分に理解できる能力を身につけます。特別研究では,主指導教員の指導を中軸として,副指導教員の協力を得て,生命科学分野の諸課題の研究を主体的に進め,その内容を表現できる能力を身につけることを目標とします。

 

農林生産学コース

 共通科目の履修により,英語力,数理?情報能力を高めるとともに広範囲な自然科学分野の理解を深めます。専門科目の履修により,農業生産,農業経済,森林管理に関する多角的な解析手法から,食料?農林業?農山村の広範囲にわたるメカニズムや多様性を学び,農林生産学分野の理解を深めます。セミナーでは,農林生産学に関する国内外の最新の研究論文を精読し,研究の背景を十分に理解できる能力を身につけます。特別研究では,主指導教員の指導を中軸として,副指導教員の協力を得て,農林生産学分野の諸課題の研究を主体的に進め,その内容を表現できる能力を身につけることを目標とします。

 

 

教育課程編成?実施の方針 CP(カリキュラム?ポリシー)

 

1. 教育課程の編成の方針

 

 学位授与の方針(ディプロマ?ポリシー)に掲げる,科学?技術の発展と持続可能な社会の実現に俯瞰的?総合的視点から寄与できる創造性豊かな高度技術者?研究者及びグローバルな視野を持って地域社会の発展に貢献できる人材育成のために,理工学専攻,環境システム科学専攻,あるいは農生命科学専攻に設置された各教育コースでは,下記のような教育課程の編成の方針を定めています。

 

理工学専攻

 

先端材料工学コース

 材料科学の基礎から応用までの知識を有し,材料の開発や設計,製造や加工プロセスの構築,力学特性の測定や評価等を行う高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,物理学,数学,化学,情報工学及び材料科学の科目を一つのコース内に配置しています。また,履修生の専門に関係の深い学問領域を深く追究できる科目を置くと同時に,材料分野全般に広がりを持たせる科目も配置しています。具体的には材料評価系科目(材料強度評価,量子線回折,組織評価学),材料創成系科目(電子デバイス,材料合成,冶金)から材料計算系科目(計算物理学,機械学習,流体シミュレーション)を配置しています。これにより,材料の計算的手法,各種特性の評価および製造プロセスの相互関係を,専攻する専門にかかわらず広く修得できる科目配置となっています。

 

数理科学コース

 数理科学の体系的知識と思考方法,数理科学を他分野に展開していく能力を身につけ,種々の社会的課題を解決できる高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,現代数理科学における重要な内容を科目として配列しています。微分位相幾何,リー代数,環論,整数論といった抽象的に深化している構造数理の内容から,関数解析,微分方程式の定性的理論,偏微分方程式,力学系,エルゴード理論などの応用まで見渡せる解析数理の内容,そして凸解析,数値解析,金融数学,数理生物学,統計科学などの現象解明のためのツールとなる内容まで,数理科学における抽象化と具現化が学べる科目群を整備しています。また,東北師範大学とのダブルディグリープログラムにおいて,科目の読み替えと単位換算が直ちに可能となっています。

 

知能情報デザイン学コース

 知能情報デザイン学コースでは現在のデジタル社会に必要とされている情報システム分野,およびデータサイエンス分野で活躍できる技術者?研究者を輩出することを目的とし,両分野の幅広い研究トピックを扱っています。データサイエンス分野のトピックには,知能情報学,統計科学,機械学習、情報検索を含みます。情報システム分野のトピックには,ネットワーク,福祉情報工学,ソフトウェアおよびハードウェアの設計?分析?検証,アルゴリズムや計算量を含みます。各分野の理論や技術を学ぶ科目に加えて,それらを実社会の課題解決に適用する科目も配置することで,産業界においても活躍できる人材を育成します。

 

物理?応用物理学コース

 物理学の基礎から応用までの知識を有し,種々の物理現象や機能の発現機構の解明,エネルギー関連材料の創成,先進材料を用いた電子デバイスの開発等を行う高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,理学系と工学系の科目を一つのコース内に配置しています。履修生の専門に関係の深い学問領域を深く追究できる科目を置くと同時に,関連する分野(理学系?工学系)の科目もまんべんなく配置しています。そのために,理学系の科目で は,理論系科目(電子物性理論,ソフトマター,素粒子論)から実験系科目(磁性?光学)までを配置し,工学系の科目では,理論系科目(電子論)から実験系(結晶工学,電子デバイス)の科目を配置しています。これにより,理論(原理)と実践(応用)の相互関係を,理学系?工学系のどちらに基盤を置いても修得できる科目配置となっています。

 

機械?電気電子工学コース

 機械工学,電気電子工学に関する幅広い知識を有し,知能化?高機能化が求められる時代の高度な社会基盤の構築及びものづくりに貢献できる高度技術者?研究者を育成します。機械工学の分野では,材料力学,機械力学,熱流体工学といった重要な力学系科目及び制御工学,機械設計,ロボット工学の応用系科目を配置しています。電気電子工学の分野では,様々なテーマを扱う科目を開講するなかで,特に,光及び電波を利用する工学の教育に力を入れる方針であり,これらを用いる先端的な計測技術と通信技術を扱う科目を充実させています。さらに,人間工学を扱う科目を開講しているのが特色です。学生が指導教員と共に履修計画を立てることによって,機械工学,電気電子工学に関する幅広い知識を修得できるようにしています。特別研究では,これらの学問分野に関連する先進的な研究を通して,実践的な研究遂行能力の育成を図ります。

 

環境システム科学専攻

 

地球科学コース

 フィールドを重視した地質学を基礎とし,地球科学の体系を理解する能力と地球史観を有し,資源開発?環境?地域防災?建設などに携わる高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,研究科,専攻,コース(地球科学)をそれぞれ概観する授業を必修とし,自然科学系の幅広い教育?研究分野の中での地球科学の位置づけを理解した上で専門科目を履修するカリキュラム構造としました。コース必修の「地球科学基礎」は先端地球科学から自然災害科学までの内容を包括しており,理学系及び工学系専門科目履修のための基礎としました。フィールド地質学と地球環境科学の教育を強化するため学内他部局(エスチュアリー研究センター,教育学部)の教員が授業の担当と特別研究の指導教員として加わっています。

 

 

環境共生科学コース

 水域から陸域にある様々な自然環境の繋がりとその機能を理解し,自然環境の資源を持続的に利用できる,環境と共生した社会に貢献する高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,研究科および専攻を概観する科目と英語に関する科目を必修として,幅広い知識と視野を身に着け,自然科学の中での環境共生科学の位置づけを理解します。その上で,野外から実験室までの様々なスケールでの自然環境に関する基礎と応用を含む専門科目を,学生が関心に応じて履修します。さらに,環境と共生する未来社会の構築のために必要な題材を自ら見つけ,その題材の研究計画を立て,研究を遂行するとともに,その研究と社会との関わりを考える能力を養うためのセミナーと特別研究を必修科目として履修します。

 

物質化学コース

 化学の基礎から応用までの知識を有し,宍道湖などの水系環境研究, 環境の負荷低減に関する研究, 再生可能な資源やエネルギーの有効利用に関する研究や種々の機能材料の開発など, 幅広く物質化学に携わる高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,研究科?専攻に関連した基礎的な内容に関する知識,技術と,幅広い視野を身につけるために,研究科共通科目(自然科学概論,環境システム科学論,英語演習等)を履修します。その上で,物質化学に関する専門知識,技術を身につけるための専門科目を,学生の興味?関心に沿って選択科目として履修します。また,問題点を分析し,課題を設定?解決できる能力を身につけるために, 実際の企業現場の課題解決を行うPBL教育(実践教育プロジェクト, 長期インターンシップ)を用意しています。さらに,課題に対して計画的に研究を推進できる能力及びその研究に関する最新の専門知識,技術を身につけるとともに論理性,創造性,倫理観を養うためのセミナー及び特別研究を必修科目として履修します。

 

建築デザイン学コース

 建築学における構造?環境?計画?意匠の専門的知識を有し,建築やタウン?アーキテクトの分野で人や環境にやさしい社会の構築に貢献できる高度技術者?研究者を育成します。本コースでは,一級建築士の受験資格の実務経験2 年を減免することが可能になるように建築設計?工事監理インターンシップ科目を開講し,より実践的な教育カリキュラムを構築しています。また一級建築士の実務経験に関連する建築設計についての科目や修士設計を教育プログラムに取り入れています。また建築構造?住環境,建築計画デザインの各分野における高度な専門教育を行う科目を開講するとともに,各分野においてそれぞれフィールドワークを行う演習科目を設けており,地域に根ざした実践的な教育を行います。

 

農生命科学専攻

 

生命科学コース

 生命科学コースでは、生物を分子から生態系まで様々な階層から捉え、最先端の技術を駆使し、生命現象の全体像を解明し、それらをヒトの未来社会に生かすことを目的として教育?研究を行っています。教育では、生命現象に関する基礎から応用までの多彩な講義?演習プログラムを用意し、柔軟な発想力に基づいて自ら研究を推進する能力、コミュニケーション能力、物事を多面的に捉えて本質を見抜く思考能力などを身につけることができるよう、セミナーや研究指導を行っています。将来、生命科学の研究?教育に携わることを希望する人、バイオメディカルや機能性食品等の分野で活躍したい人、生態系を複合的に理解して環境問題に対処したいと考えている人など、従来の生物?バイオテクノロジー関連分野の枠を超えた研究や産業の新分野を開拓しようとする人たちに最適な教育プログラムです。

 

農林生産学コース

 農林生産学コースは,資源作物?畜産学,園芸食物科学,農業経済学,森林学の4コースからなる農林生産学科の学部教育をより高度化させます。農業生産,農業経済,森林管理に関する多角的な解析を通して,食料?農林業?農山村の広範囲にわたるメカニズムや多様性を学び,農林生産学分野の理解を深めること,農林生産分野の諸課題の研究を主体的に進め,その内容を的確に表現できる能力を身につけることを教育の目標としており,農林生産物に関する持続可能な生産技術,農業経営?経済についての総合的な知識を身につけ,農林業や農山村がもたらす豊かな人間生活の実現に貢献できる高度技術者?研究者を育成します。

 

2. 教育課程における教育?学習方法に関する方針

 

 理工学専攻,環境システム科学専攻,そして農生命科学専攻の各教育コースでは,理学,工学,あるいは生物資源科学の幅広い学問領域の特長を活かしつつ,授業科目を「研究科共通科目」,「専門科目」,「セミナー」,「特別研究」に大別して教育を行います。

 

 研究科共通科目では,自然科学全般に及ぶ幅広い見識,科学的な英語能力,国際感覚,高い倫理観,プレゼンテーション力,実践力,および「理学,工学,あるいは生物資源科学」の体系的な知識を身につけることで,高度技術者?研究者に必要とされる基礎力を養成します。

専門科目では,各教育コースにおける高度な知識を修得するとともに,他専攻の科目の履修により学際融合的な知識を深めることで,「理学,工学,あるいは生物資源科学」の高度技術者?研究者として必要とされる専門的で広範な能力を養成します。さらに,専門分野の社会的意義を理解して人類社会や地球環境とのかかわりについて総合的に考える力を養います。

セミナーでは,研究成果や調査内容,自らの思考などを論理的に説明し,議論する力を養成します。

特別研究では,主指導教員及び副指導教員の指導のもとに,専門分野における高度な調査技術,分析技術,および解析技術を習得し,さらには科学論文の執筆方法や研究成果の発表方法を習得します。これら研究に必要な様々な技術や資質の獲得を通して,創造的な研究能力,論理的思考能力,高い研究倫理観,問題解決能力を養成します。この授業科目は教育課程における主要科目として位置づけられます。

 

 

3. 学習成果の評価の方針

 

 教育課程の編成?実施の方針(カリキュラム?ポリシー)に沿って設定される各教育コースの「研究科共通科目」,「専門科目」,「セミナー」,「特別研究」の成績評価は予めシラバスに明示された授業の到達目標と成績評価の方法,およびその基準に基づいて行われます。評価は授業担当教員が行う筆記試験によりますが,授業の態様によっては口頭試問,レポート,小テスト,もしくは研究報告等による総合的評価となります。

修士の学位の審査を受けることができる者は,自然科学研究科博士前期課程の修了に必要な30単位の授業科目を修得した者または修得見込みの者で,かつ学位論文等の作成のための研究活動の中間発表を行っている者とします。学位論文の内容は,主に次の観点で評価されます。

1.専攻分野において一定程度の学術的価値を有する。

2.先行研究を着実に踏まえて研究が行われている。

3.論旨が明快で,しっかりした論理展開がみられる。

4.適切な文章表現による論述が行われており,高いレベルで完結性を有する。

5.学位論文発表会等において,学位論文に求められる基本要件(ディプロマ?ポリシーが求める学力,能力,資質等)及び論文の構成(背景,研究目的,結論等)の内容が適切に表現できる。

 

 

 

入学者受入れの方針 AP(アドミッション?ポリシー)

 

◆求める学生像(入学前に期待される学修内容)

 

 自然科学研究科博士前期課程では,科学?技術の発展と持続可能な社会の実現に俯瞰的?総合的視点から寄与できる創造性豊かな高度技術者?研究者及びグローバルな視野を持って地域社会の発展に貢献できる人材を育成します。その教育では,理学,工学,あるいは生物資源科学の高度な専門知識と技術,社会において新たな科学?技術を創成する能力,そして平等な社会の構築に向けた持続可能な技術開発力を養成します。これらを踏まえて理工学専攻,環境システム科学専攻,あるいは農生命科学専攻の各教育コースでは,次の方針により入学者を選抜します。

 

理工学専攻

 

先端材料工学コース

 先端材料の設計,製造,加工,応用,およびそれらの指導原理について興味を持ち,物理学,数学,化学,情報工学及び材料科学の基礎を身につけた学生を求めます。特に実用を考える工学的な視点を持ちながら,本質を探索する理学的な視点から物事を見ることのできる学生を求めます。このような方針に基づき,多角的な視点を持ち,知識と学力を備え,かつ研究に対する強い情熱と学修意欲を持つ学生を受け入れます。

 

数理科学コース

 数理科学の基幹をなす純粋?抽象数学や,自然?社会現象を理解するための発展的数理に興味を持ち,専門的知識および研究方法の修得に熱意があり,数学や自然科学における新たな発見?見識を得たい学生を求めます。また,将来よりよい社会づくりに役立ちたい,高い見識を持つ研究者,教員として次世代に数学を伝えたいという意欲を持つ学生を求めます。

博士前期課程では,大学の学部教育に相当する教程を通じて得られる学力を基礎にして専門性の高い学問領域での教育が行われます。そのため,それぞれの専門領域に応じて,代数学,幾何学,位相数学,解析学,応用解析学,統計学,現象数理学などに関する基礎的知識が必要です。

このような方針に基づき,大学の数学教育の課程を履修して習得される学力,あるいは同程度の学力を備えていることが認められ,かつ数学に対する強い情熱と学修意欲を持つ学生を受け入れます。

 

知能情報デザイン学コース

 ソフトウェア?ハードウェアのものづくりを実践したい人やそのための理論的背景を学び,新たな方法論を提案したい人を求めます。博士前期課程を修了するためには,研究を主体的に推し進めることができる基礎学力?熱意?研究構想力を備えている必要があります。 このような方針に基づき,物事を自ら整理し,発展させることのできる能力を持つ学生,または大学の成績が上位であり,人物が優秀で情報工学に熱意を持つ学生を受け入れます。

 

物理?応用物理学コース

 物理学や結晶工学,デバイス工学の基礎を身につけた学生で,自然科学を基礎から探究?理解することを志向する学生,基礎科学?応用科学技術に興味を持ち,物質を微視的な視点から研究し,新しい物質やデバイスの開発を目指す学生,現代の物質観を身につけたい学生を求めます。このような方針に基づき,本コースの教育を受けるのにふさわしい知識と学力を備え,かつ研究に対する強い情熱と学修意欲を持つ学生を受け入れます。

 

機械?電気電子工学コース

 機械工学又は電気?電子工学分野に関する専門知識と思考力を有し,探究心が旺盛でかつその分野の学修に熱意を持つ学生を求めます。このような方針に基づき,専攻分野の専門知識を備えた学生,または大学における成績が上位である学生を受け入れます。

 

環境システム科学専攻

 

地球科学コース

 地質学を基礎とした学際的見地から地球科学の分野を研究することについて興味を有し,より深い知識,高度な技術を身につけ,それを将来,技術者,教育者として社会のために役立てたいと考えている学生,研究を自主的に進める意欲のある学生を求めます。博士前期課程で研究に取り組み,課程を修了するためには,研究内容を理解し,適切に表現する能力,主体的に研究に取り組む強い意欲及び英語の学力が必要です。このような方針に基づき,地球物質資源科学?地球環境科学?自然災害科学などに対する秀でた理解力,表現力学修及び科学的思考能力を備え,かつ積極的に学修に取り組む意欲のある学生を受け入れます。更に,英語読解力と大发体育語文章力に秀でた学生,または大学における英語及び地球科学に関する専門科目の成績が優秀な学生を求めます。

 

環境共生科学コース

 環境共生科学コースでは,自然と人間が真に共生する豊かな21世紀型社会の実現に向けて,生活環境,生産環境及び自然環境を構成する様々な資源(水,大気,土壌,エネルギー,施設,機械,情報,動物,植物,微生物等)に関する学術,産業,教育,地域文化等に貢献できる研究者?技術者を目指す学生を求めます。本コースでは,環境資源を多角的に理解,評価,管理,保全,改善できる高度な見識と学力を有し,かつ確固たる責任感と倫理観をも備えた人材を育成する教育を行います。このような方針に基づき,本コースにおいて対象とする様々な資源(水,大気,土壌,エネルギー,施設,機械,情報,動物,植物,微生物等)に関する基礎的な知識,学修意欲,理解力及び表現力を持つ学生を受け入れます。

 

物質化学コース

 人類に有用な物質の創製や高効率で環境負荷の少ない物質?エネルギー変換技術を開発するため,物質の性質や機能を原子?分子レベルから合理的に理解し,それらの知見を統合的に活用することに興味を持つ学生を求めます。博士前期課程で授業を履修し,研究を行うためには,しっかりとした化学の専門知識と応用力及び語学力が必要となるため,大学の化学に関する基礎学力及び英語力を十分に備えた学生,または大学の成績が優れており,人物が優秀で意欲のある学生を受け入れます。

 

建築デザイン学コース

 本コースでは,建築計画?都市計画,歴史意匠,建築構造,建築環境などの分野に興味を有する学生を求めます。特に,専攻する専門分野における内外の文献情報,調査?実験などの計画立案及び解析に対する基礎知識と対応意欲を有していることが要求されます。このような方針に基づき,上記の専門分野に関する基礎的な知識,学修意欲,論理的思考力,理解力及び表現力を持つ学生を受け入れます。

 

農生命科学専攻

 

生命科学コース

 生命科学コースでは,個々の生体分子の構造や性質ならびに相互作用の解明を通じて,細胞?個体?集団?生態系レベルでの調節機構や協調作用を理解することで,生命現象の原理追究に興味をもつ学生,また社会の健全な発展に向けた技術や製品開発に興味をもつ学生を求めます。本コースでは,生命現象を総合的に理解し探究するうえで必要となる,分子から細胞,個体,集団,生態系に至る幅広い知識と研究技能を持ち,かつ柔軟な発想力と実行力をそなえた人材を育成する教育を行います。本コースで提供される講義科目等を履修?修得し,研究を行うためには,大发体育語及び英語の語学力に加え,生物学や化学,生命工学の基礎知識が必要です。そのため,それらの基礎学力を備え,研究に対する高い意欲と明確な目的意識を有する学生を受け入れます。

 

農林生産学コース

 農林生産学コースでは,農業生産,農業経済,森林管理に関する多角的な解析手法から,食料?農林業?農山村の広範囲にわたるメカニズムや多様性を学び,農林生産学分野の理解を深める過程で,専門分野の諸課題の研究を主体的に進め,その内容を表現できる能力を身につける教育を行います。本コースでは,農林産物に関する持続可能な生産技術や,農業経営?経済についての総合的な知識を身につけ,農林業がもたらす豊かな人間生活の実現を目指します。そのために農林生産学分野に関する科学的基礎力と応用力,ならびに専門領域の基礎知識を備え,農林業生産が抱える諸問題の解決に強い関心と熱意,研究への意欲を持った学生を受け入れます。

 

 

 

◆入学者選抜の基本方針(評価方法とその扱い方、特に学士課程では学習成果(学力の3要素)をどう求めるのか)

 

 理工学専攻,環境システム科学専攻,あるいは農生命科学専攻の各教育コースでは入学者受入方針に適合する多様な人材を選抜するため,複数の形態による入学試験を実施します。推薦入試では学士課程における成績等により学生の学力や表現力,研究への意欲や適性,将来展望などについて総合的に判断します。一般入試では口頭試問および面接により専門分野の基礎知識,研究能力や意欲を問い,さらに成績証明書の記載内容などについて総合的に判断します。社会人入試,外国人留学生入試,及び学部?博士前期一貫プログラム入試では学士課程における成績等に加えて,それぞれの選抜で必要な口頭試問,面接,英語試験(外部試験),もしくは小論文などを課し,これらを総合して判断します。