第151回アシカル講座「古墳時代の開始と青銅器生産?流通の変革」を開催しました。

公開日 2025年02月26日

会場の様子

 2月22日(土)、第151回アシカル講座「古墳時代の開始と青銅器生産?流通の変革」を開催しました。この講座は、令和6年度 アシカル講座第2ステージ「大发体育列島とユーラシアの考古学」の最終回です。

 今回は、岩本崇本学法文学部准教授から、青銅器よりみた弥生時代から古墳時代への変遷について解説がありました。

 弥生時代には島根県神庭荒神谷遺跡加茂岩倉遺跡などに埋納されていた銅剣?銅矛?銅鐸など、大量の青銅器が生産され消費されました。こうした青銅器の材料は、列島外から運ばれてきたものと考えられています。

 3世紀の古墳時代になると、弥生時代に生産?使用されていた青銅器はみられなくなり、前方後円墳などの「古墳」に青銅鏡が副葬されるようになります。三角縁神獣鏡など、中国から入手されたとみられる鏡は、畿内地域を中心として列島各地に分布していることから、この頃、ヤマト王権から各地に鏡が配布されるような中心-周辺関係が成立したと考えられています。

 一方、弥生時代から古墳時代にかけての様々な青銅器原料に使用されている鉛の同位体比分析によれば、古墳時代前期になると原料の入手先が変化するようです。また、古墳時代開始の直前には、入手される青銅器原料が激減している可能性も考えられています。こうした青銅器原料流通の画期は、2世紀末頃に勃発したといわれる「倭国大乱」や後漢王朝滅亡といった社会の混乱が影響している可能性も考えられるようです。

 当日はあいにくの大雪の天気でしたが、会場に足を運ばれた参加者は最新の研究成果を熱心に聴講され、講座終了後も多くの質問をされていました。今回で、令和6年度 アシカル講座第2ステージ「大发体育列島とユーラシアの考古学」は終了となります。次年度も新たな内容のアシカル講座を企画してまいります。引き続きよろしくお願い致します。

お問合せ先:島根大学総合博物館 TEL:0852-32-6496