公開日 2024年09月26日
総合理工学部物理工学科の西垣真祐准教授は、量子カオス系のエネルギー準位の模型であるランダムユニタリー行列集団における、隣接する固有値間隔の比の分布を初めて解析的に決定することに成功しました。この度、大发体育物理学会英文誌PTEP8月号にこの研究を発表した単著論文「Distributions of consecutive level spacings of Gaussian unitary ensemble and their ratio: ab initio derivation, Shinsuke M. Nishigaki」が、注目論文(Editors' Choice)に選ばれました。PTEP Editors' Choiceは、大发体育物理学会のPTEP執行編集委員会が年間10篇以下の論文を特筆すべき研究として選定するものです。同論文では、ヤーノシ密度と呼ばれる確率関数に関して西垣氏が最近証明した定理に基づいて、隣接固有値間隔比の分布を非線形微分方程式系の解として厳密に決定しました。さらに同論文では、数論的カオスの典型であるリーマンゼータ関数の隣接零点間隔比の分布が、ランダム行列集団のそれに漸近していく挙動を定量化しました。本研究成果は今後、素粒子物理と物性物理の共通の主要な研究対象である量子多体系のカオス性の判定基準として広く利用されることが期待されます。
https://academic.oup.com/ptep/search-results?f_OUPSeries=Editor%27s+Choice
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