公開日 2024年03月27日
令和4年度に本学研究表彰(功労)を受賞した生物資源科学部の石川 孝博 教授の研究業績を広く学内外にアピールすることを目的に、3月4日(月)、「石川孝博教授 島根大学研究表彰(功労)受賞記念シンポジウム めくるめくビタミンCの世界への誘い~新たなビタミンCのはたらき~」を本学主催、大发体育ビタミン学会、ビタミンC研究委員会の後援により開催しました。会場の大学ホールには本学教職員?学生、一般の方を含む100名が集まり、43名のオンライン参加がありました。
大谷 浩 研究担当理事の開会挨拶の後、石川教授、生物資源科学部 丸田 隆典 教授のほか、学外からお迎えした徳島大学大学院社会産業理工学研究部 田井 章博 教授、東京都健康長寿医療センター研究所 石神 昭人 副所長ら著名なビタミンCの研究者に、医療、食品で私たちに身近なビタミンCの最新の研究成果についてそれぞれの専門分野から講演をいただきました。
石川教授は冒頭で、「ビタミンCの研究は年々研究が進んでおり、今熱い研究分野の1つです。」と述べ、「植物アスコルビン酸生合成研究のこれまでとこれから」をテーマに、長年不明であった植物のビタミンC生合成経路が、植物モデルのシロイヌナズナの変異体の解析によって特定された経緯と生合成経路の調節機構について解説しました。また、ユーグレナのビタミンC生合成経路、成熟トマトなど光合成がされない部分では植物で主流のビタミンC生合成経路とは異なる経路が機能しているなど、最近の研究成果について紹介しました。
丸田教授は、「なぜ植物はビタミンCを多く含むのか?-植物の環境順応における役割-」と題して、生物全体量の82.5%を占める植物の研究意義を説くと共に、植物はビタミンCを高濃度に蓄積することによって、光による活性酸素から身を守り、安全に光合成ができるように進化してきたと説明しました。
生物資源科学部 石川 孝博 教授 生物資源科学部 丸田 隆典 教授
田井教授からは、「アスコルビン酸誘導体の創製と薬理作用」をテーマに、開発した誘導体(プロビタミンC剤)に抗アレルギー作用が見つかったことをきっかけに、抗アレルギーに特化した物質や経口投与でも効果がある物質を創製することができたとして、今後の医薬品等の開発の展望についてお話いただきました。
石神副所長からは、「ビタミンCと老化-健康長寿を目指して-」をテーマに、私たちの体の中でのビタミンCの働きのほか、血中ビタミンC濃度が高い高齢の女性は運動能力が有意に高いこと、ビタミンC不足が筋肉量の低下につながることなど私たちの老化とビタミンCの関連や摂取方法についてお話をいただきました。
徳島大学 田井 章博 教授 東京都健康長寿医療センター研究所 石神 昭人 副所長
講演後の全体討論では講師4名が登壇し、参加者との質疑応答が活発に繰り広げられました。石川教授から、本シンポジウムの後援であるビタミンC研究委員会が開設した一般の方向けのホームページ(https://vc-research.info/)でもビタミンCの発見の歴史や構造について掲載しているので是非見ていただきたいと紹介がありました。
最後に、生物資源科学部長の上野 誠 教授から閉会の挨拶があり、シンポジウムは盛況のうちに終了しました。
会場の様子
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研究?地方創生部 研究推進課
0852-32-9844