生物資源科学部 西村浩二准教授と東京農業大学、信州大学、京都府立大学、農研機構との研究グループは、ゴルジ体に局在するカルシウム輸送体が植物の水不足や塩ストレスの耐性に重要な役割を果たすことを発見しました

公開日 2023年11月16日

生物資源科学部 西村浩二准教授と東京農業大学、信州大学、京都府立大学、農研機構との研究グループは、ゴルジ体に局在するカルシウム輸送体が植物の水不足や塩ストレスの耐性に重要な役割を果たすことを発見し、その研究成果が国際学術誌Plant Physiology (IF 7.4, Journal Citation Reports(2022年))に掲載されました。

◆本件の概要
 カルシウム(Ca2+)イオンは、生体内で最も重要な物質の一つであり、様々なシグナル伝達や応答経路におけるセカンドメッセンジャーとして普遍的に作用しています。ゴルジ体は細胞質よりも高濃度のCa2+を保持しており、水分欠乏や塩害などの環境刺激に応答して一過性にCa2+が上昇した場合に、細胞質Ca2+を基底状態に戻す役割を担っています。しかし、植物のゴルジ体に局在するCa2+輸送体は明らかにされていませんでした。島根大学生物資源科学部生命科学科の西村浩二准教授は、東京農業大学大学院生命科学研究科の太治輝昭教授を中心とする信州大学繊維学部応用生物科学科?京都府立大学大学院生命環境科学研究科?農研機構遺伝資源研究センター?東京農業大学生物資源ゲノム解析センターとの共同研究で、植物の水不足や塩ストレスに対する耐性が損なわれたシロイヌナズナ突然変異株、acquired osmotolerance-defective 6 (aod6)を単離し、その原因遺伝子がCATION/Ca2+ EXCHANGER 4 (CCX4)であることを明らかにしました。さらに、CCX4がCa2+輸送体として機能し、ゴルジ体に局在したことから、CCX4がCa2+応答に関与するゴルジ体局在のCa2+輸送体であり、シロイヌナズナの水不足や塩ストレス耐性に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。今回の成果は、水不足や塩害に適応する作物育種へつながる成果です。
 本研究はJSPS科研費(基盤A:18H03941)などの助成を受けたものです。

◆掲載誌情報
【雑誌名】Plant Physiology
【論文名】Golgi apparatus-localized CATION CALCIUM EXCHANGER4 promotes osmotolerance of Arabidopsis
(大发体育語):ゴルジ体に局在するCATION CALCIUM EXCHANGER4はシロイヌナズナの浸透圧耐性を促進する
【著 者】 Kazuki Kanamori, Kohji Nishimura, Tomoaki Horie, Masa H. Sato, Takuma Kajino, Takashi Koyama, Hirotaka Ariga, Keisuke Tanaka, Izumi Yotsui, Yoichi Sakata, and Teruaki Taji
【論文URL】https://doi.org/10.1093/plphys/kiad571
【論文DOI】10.1093/plphys/kiad571

◆本件に関するSDGs
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◆本件連絡先
 島根大学生物資源科学部 准教授 西村 浩二
 TEL:0852-32-6449
 E-mail:knishimu@life.shimane-u.ac.jp(送信の際は@を半角にしてください)