公開日 2022年10月24日
第107回島根大学サイエンスカフェ
「営農型太陽光発電 -作物生産と太陽光発電の共存に向けた研究紹介」
令和4年10月17日(月)15時~16時10分
講師:島根大学 生物資源科学部環境共生科学科 助教 李 治
今回の島根大学サイエンスカフェでは、李助教より「営農型太陽光発電 -作物生産と太陽光発電の共存に向けた研究紹介」をテーマに講演を行いました。
農地や農業施設の上部空間に太陽光発電設備を設置する営農型太陽光発電システムに関連した研究紹介がありました。
営農型太陽光発電システムにおける太陽光パネルの設置高さと傾斜角の変化が日射量分布に及ぼす影響に係る研究では、(1)太陽光パネル設置の高さを固定したまま角度を変える場合、(2)太陽光パネル設置の角度を固定したまま高さを変える場合、の2パターンでの日射量と遮光率の分布を比較したデータの紹介があり、冬季は太陽高度が低いことから太陽光パネル設置の高さを高くすると直達日射の遮蔽がない面積が増加する等それぞれの違いが分かりました。
また、プロトタイプ太陽光発電独立電源型栽培補光システムの開発に係る研究では、温室において日射が弱い朝や夕方はLEDが点灯して補光を行い、日射が強い昼にはLEDの点灯が停止する実験の様子を動画も一緒に見ながら紹介がありました。この実験で使用している4枚の太陽光パネルのエネルギーのほとんどはLED点灯に使用されていましたが、環境?生育データの収集や作業管理データの可視化などLED点灯以外にもエネルギーを活用できるとのことで、営農型太陽光発電は栽培する作物やエネルギーの使用目的を適切に設定することで最大限の力を発揮できると感じました。
さらに、参加者からは「太陽光パネルを上部に設置してしまうと遮蔽が生じてしまうので農地から離れたところに設置してはどうか?」との質問がありました。李助教からは「太陽光パネルの上部設置では必ず遮蔽が生じてしまうが、強い光が植物に当たると光合成に良くない場合があるなど、遮蔽が植物に影響を与えないケースがある。また、太陽光パネルの設置には多くの面積がいるが、屋根などの上部に設置すれば未利用の活用スペースにつながる。」との回答があり、遮蔽の影響を受けない作物を生産しながら農地を有効活用するという、今回のテーマである営農型太陽光発電のメリットが伝わるやりとりがありました。
今回は38名の参加がありました。参加者の皆様、ご参加いただきありがとうございました。
次回は「なぜ地球温暖化は解決しにくいのか」(講師:法文学部 教授 吹野 卓)をテーマに11月28日(月)に開催しますので、ご参加お待ちしております!
李講師の講演の様子
【お問い合わせ】
研究?地方創生部 研究推進課
0852-32-9844