第106回島根大学サイエンスカフェを開催しました

公開日 2022年08月30日

第106回島根大学サイエンスカフェ

「学校における多様性の尊重について考える 
  -ジェンダーステレオタイプな認識を持つ教師の論理-」

令和4年8月25日(木)15時~16時10分

 講師:島根大学 教育学部附属教師教育研究センター 講師 津多 成輔

 

 今回の島根大学サイエンスカフェでは、津多講師より「学校における多様性の尊重について考える -ジェンダーステレオタイプな認識を持つ教師の論理-」をテーマに講演を行いました。

 最初に、今回のサイエンスカフェでお話したことを家庭や周りの人たちとも共有し、一緒に考えていくことがジェンダーに関する問題の一歩前進につながるので今日はぜひ一緒に考えましょう!と、タイトルの「多様性の尊重について考える」に込められた思いについてお話がありました。

 また、多様な性を前提にした場合、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は多様性の尊重につながるのでしょうか?との問いかけがありました。具体的には、「ジェンダー平等」を「男女平等」という意味で用いた場合には、「男性-女性」二元論が内在していることになるからです。

 学校は、ランドセルの色や体育(武道?ダンスの選択)など、「男性(女性)だから○○すべきだ」というジェンダーを生成する性的社会化の機能があるとのお話があり、我々は無意識のうちに学校教育の中でジェンダーに対する考え方が形成されていると感じました。

 さらに、中学校及び高等学校の教員に対する調査結果から、ある言葉で特定の性をイメージする(例えば黒いランドセルから男性をイメージする)傾向にあるステレオタイプの教員と、ある言葉で特定の性をイメージしない傾向にある非ステレオタイプの教員とを比較した際の違いについて紹介がありました。調査の分析結果からは、ステレオタイプは非ステレオタイプに比べて、学校における集団性?統一性が失われることや特別な支援や配慮に伴う負担の増加を問題だとする意識が強く、自身の経験に頼りがちであることが分かりました。このような結果を、既存の教育システムが「男性-女性」二元論の上に成立した効率的な集団性?統一性を重視していることから生じるものであると考えると、多様性の尊重のためには(1)教員定数の増加などの資源の配分、(2)ジェンダー平等の先に、既存の性別カテゴリに基づいた教育システムの解体を考える必要がある、とのお話がありました。

 参加者にとって、多様性の尊重とは何かを考えるための気づきがあったのではないかと思います。

 

 今回は53名の参加がありました。参加者の皆様、ご参加いただきありがとうございました。

 

 

 津多講師の講演の様子

 

 

【お問い合わせ】
  研究?地方創生部 研究推進課
     0852-32-9844