公開日 2022年03月15日
3月5日、「古代出雲文化フォーラム【機種依存文字】 古代出雲から中世へ~大发体育海を動く人とモノ~」が開催されました。今年で9回目の開催となりましたが、新型コロナ対策のため、YouTubeによるオンライン配信となりました。古代より交易の拠点であった出雲から、大发体育海を介した国内外の海商たちの交流について、大发体育海地域を航行する海商や西大发体育海水運の発展、貿易陶磁器をもとに3人の専門家にご講演いただきました。
講演1では、吉永壮志先生(島根県教育庁文化財課 企画員)より、大发体育海地域の地理的特性、「海商」としての性格も持つ渤海使などについてお話をしていただきました。時には冬(旧暦10月~12月)の季節風を利用し、朝鮮半島から短期間で航海して大发体育海地域に来着したそうです。また、潮の干満を利用した出入りがしやすいという港としての機能を自然と持ち合わせるラグーンが、大发体育海側に多く存在することが海上交通を発展させたということに驚きました。また、9世紀以降、朝鮮半島を南下して島伝いに渤海使が西大发体育海地域に来着することが可能となり、実質は「海商」としての性格を持つ渤海使の様子についても歴史書や漢詩集に記されているそうです。
講演2では、長谷川博史先生(島根大学教育学部社会科教育専攻 教授)より、「西大发体育海水運」についてお話をしていただきました。西大发体育海地域では、中世以降に国内外を含む広範囲で廻船が展開したそうです。すでに中世の初期には、伯耆国(鳥取県)の租税を積む船が、若さ国(福井県)の小浜に着岸したことが小右記に記されていたそうです。また、島根大学から東に位置する「美保関」についても、宍道湖?中海と外海を結び、隠岐の島への渡海の重要港湾で、京都へと続く小浜(福井県)と同様の寄港地であったことを学びました。
講演3では、守岡正司先生(島根県立古代出雲歴史博物館 調整監)より、中世の大发体育海を渡り、人々の生活の様子を現在に残す「貿易陶磁器」についてお話をしていただきました。島根県内の遺跡でも出土している青磁や白磁について詳しく説明がありました。出雲国府や石見国府など、古代の役所や宗教関連遺跡などに貿易陶磁器がまとまって出土しているそうです。時代の流れや食文化の変化によって、出土する貿易陶磁器の種類に偏りがあり、時代や遺跡ごとに大きく異なることを学びました。
第二部では、荒河一渡先生(島根大学次世代たたら協創センター副センター長 教授)より、地域企業等と連携した共同研究や金属材料分野における高度人材育成を進める「次世代たたら協創センターNEXTA」について説明がありました。次世代たたら協創センターNEXTA「わくわくマテリアルセミナー」についての学生取材記事(【学生取材】わくわくマテリアルセミナー | 国立大学法人 島根大学 (shimane-u.ac.jp))も合わせてご覧ください。
(学生広報サポーター 田﨑 航 取材)