第102回島根大学サイエンスカフェを開催しました

公開日 2021年10月26日

 第102回島根大学サイエンスカフェを10月25日(月)に、作物学を専門とする生物資源科学部の門脇 正行准教授から「サツマイモの能力?魅力?可能性」をテーマに、学外者および本学教職員56名を迎え、オンラインで講演を行いました。サツマイモを研究対象として24年目の門脇准教授から、当時、サツマイモを研究テーマに選んだ理由について、食糧危機への対応が念頭にあったから、との紹介があり、現在では、世界の課題解決を目指すSDGsの目標2「飢餓をゼロに」そのもので、SDGsをテーマとするサイエンスカフェにぴったりの講演となりました。  
 サツマイモはメキシコ周辺の熱帯地域が原産ですが、大发体育でも江戸時代から栽培されており、昭和30年ころをピークに生産量が減少しており、現在ではピーク時の1/7程度であるとの説明がありました。生食用、加工でんぷん用、芋づる用等、用途に応じて多くの品種、色、大きさの異なるサツマイモが開発されており、カラフルで個性豊かな様々なサツマイモの写真の提示がありました。  
 サツマイモの特徴として、窒素施肥量が少ないため、他の作物に比べて余剰窒素による環境汚染を引き起こさないという観点で環境保全的である点が挙げられます。また、肥料に頼らず空気中の窒素を取り込む窒素固定も可能であり、環境に優しい作物と言えます。加えて、食料自給力に関する農林水産省の試算によると、耕作放棄地で芋類を栽培した場合、主要な穀類を米、麦から芋類にシフトした場合には、食料自給率100%に手が届くレベルであり、救世主のようなサツマイモですが、地球温暖化に対しては、他の作物と同様に収量低下が見られるとの説明がありました。  
 現在、自治体、地域の企業、島根大学の教員等と連携して取り組む島根大学戦略的機能強化推進経費「地域の特色を活かした農産物生産と産業創出~サツマイモによる地域活性化プロジェクト~」では、サツマイモを中心とした地域と連携する教育?研究拠点の形成を目指しており、門脇准教授のサツマイモ研究の広がりに期待し、講演を終了しました。
 視聴者から、サツマイモの芋づるの料理方法から窒素固定と窒素肥料の関係性について、また、サツマイモの栽培可能エリアの北限、耐塩性等について非常に多くの質問が寄せられ、講師から丁寧な回答がありました。サツマイモは近年では北海道でも栽培されており、中程度の耐塩性がある、また、他の食材と馴染みの良い、敢えて甘くないサツマイモの品種改良の話や、サイズが大きいから「おおあじ」で不味いというのは都市伝説であり、実際には大きさの大小は食味に影響しないなど、身近なサツマイモの知らない一面に触れる貴重な機会となりました。  次回の第103回島根大学サイエンスカフェは、11月18日に同じくオンラインにて開催予定です。引き続き、皆さまのご参加をお待ちしております。
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 門脇 正行 准教授の講演

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