公開日 2021年08月31日
島根大学サイエンスカフェ第100回記念講演会(8月25日開催)にご参加いただきまして、ありがとうございました。参加者のみなさまからアンケートにお寄せいただいた質問について、講師からの回答を下記に掲載いたします。
Q1. 松本 一郎 教授:「SDGsで考える現在?過去?未来?持続可能の本質に迫る?」についての質問
SDGs制定時、目標を7つ制定することを提案された、ということですが、その時の考えと17目標制定までの新たな発見について教えてください。
→サイエンスカフェ、ご視聴いただきありがとうございました。松本がコメントをした7つとは、衣食住(健康)にかかわるまとまり(SD1, SD2, SD3, SD6)、教育にかかわるまとまり(SD4)、ジェンダーにかかわるまとまり(SD5)、社会と経済にかかわるまとまり(SD7?12)、地球環境の保護にかかわるまとまり(SD13, 14, 15)、平和と公正にかかわるまとまり(SD16)、国際協力にかかわるまとまり(SD17)でした。新たな発見、ということではありませんが、開発途上国を対象としたMDGsの8つの目標からの継承?発展として、先進国、開発途上国のそれぞれの課題、そして共通の課題、またそれぞれの繋がりを捉えることができると感じたことが大きな内容であったと考えています。
Q2.松本 一郎 教授:「SDGsで考える現在?過去?未来?持続可能の本質に迫る?」についての質問
(1)環境問題や貧困や飢餓に直接関係ない人もいると思います。そのような直接関係ない人にとってSDGs目標達成のための活動は個人的にメリットがないと思うのですがどのようにお考えでしょうか。
→17の目標は直接的に関わり(関係)がないように見える部分もあろうかと思います。個 人的なメリットとしてというよりも、大きくは国や地域(や地球環境)のメリットとなることで、それが個人にメリットとして反映されてくることを目指しております。
(2)一方,戦争や貧困で問題のある地域では「今自分が生きること」に精一杯の人々がいます。そのような人はSDGsの活動どころではないと思うのですがどのようにお考えでしょうか。
→目標の中には、ご質問に該当する戦争や貧困で問題のある地域で暮らす人がたくさんおら れます。SDGsの前身のMDGsの取り組みで、世界中で飢餓で亡くなる人が2000年当初に比べて半減するなど、大変大きな改善が多数認められました。ただ、それら開発途上国を中心とする貧困や紛争に悩まされる人々は、MDGsやSDGsの各国の取り組みやNGO、NPOなどの援助、支援を受ける側となることが多いので、その人々自身の取り組み(活動)という捉え方とはまた違うところにあると思います。
SDGsは、先進国、開発途上国、また国民一人一人がやるべきこと、国や地域の行政が行うべきこと、国と国の連携で行うことなどがあり、それぞれのゴール(目標)によっても、その割合?内容は異なってまいります。先進国に暮らす私たちは、自分たちにできる身近なことをできる範囲で行うことが重要だと考えております。大发体育に暮らしていても、開発途上国ほど深刻ではないかもしれませんが、貧困に苦しむ人は多く、子ども食堂やフードバンクなどの援助を受ける側となりますので、その人たちは、積極的にSDGsの実行に向けた推進側には早急にはならないと思います。周りのさまざまな取り組み(SDGsの枠組みにとらわれることなく)のもと、それぞれの困難な状況を乗り越え(克服し)、SDGsの推進側(援助する側)になれるように、社会が動いていくようにと願っております。
Q3.太田 元基 教授:「産業と技術革新の基盤を作ろう」についての質問
「たねまき」といわれる基礎的研究だけではやはり価値が低く、研究費を取得しづらいのでしょうか。産業と連携できず、研究費を取得できないままであれば、研究をあきらめた方がいいのでしょうか。それとも自費で研究を続けるべきなのでしょうか。
→今回の講演は、SDGs の目標である「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」について、たたらプロジェクトの試みを例に紹介したものです。 個人的意見としては、いかなる状況でも「たねまき」は続けていかなくてはいけないと思っています。小生は基礎研究が価値が低いとは断じて思いません。
次世代たたら協創センターで重要視しているのは、基礎的研究と応用研究をいかにしてつなぐかという点です。たたらプロジェクトはプロジェクトとして進めているので、応用から見た視点で足りない基礎を補ったり、ニーズがある中で基礎研究もその実現に向けて形を変える必要があり、双方の歩み寄りが必要となります。資金を受け取る場合、出資者に対する説明は必要となり、本当の意味での自由な視点の基礎研究はやりにくいかもしれません。
どうしても、連携できる応用が見えていた方がストーリーは描きやすくなるので、それが難しい分野であれば、自費もやむ得ないかもしれません。 個人の見解ですが、最近出会う多くの科学者は、その人が追求する生涯にわたるテーマ(専門) があって、それに関連した応用テーマを持っている人が多いように感じます。 専門分野だけでなく、少し視野を広げると近い応用テーマも出てくる可能性もありますので、視野を広げるという意味でも、良い意味でのサブテーマを検討されてはいかがでしょうか。企業とつながるインターフェースとなる可能性もあります。
Q4.黒岩 大史 センター長:「数理?データサイエンス教育研究センターにおけるSDGsの取組み」についての質問
島根大学を卒業した後ですが数理データサイエンスの講義を受講したいです。一般向けにセミナーは受講することはできますか。
→本学の授業を受講いただく1つの方法としまして、本学には「科目等履修生制度」があります。これは、学部及び大学院で開設されている授業科目を学生と一緒に受けていただき、単位を修得できる制度です。詳しくは下記をご覧ください。
【「科目等履修生」ウェブサイト】
/social-contributions/lifelong_study/part_time_student/
関連する授業としては例えば以下のようなものがあります。
?基礎科目「数理?データサイエンスへの誘い」
https://gkm2019-sy.shimane-u.ac.jp/syllabusHtml/2021/90/90_D0A1011_ja_JP.html
?教養育成科目「オープンデータ分析」
https://gkm2019-sy.shimane-u.ac.jp/syllabusHtml/2021/90/90_G0A0802_ja_JP.html
また、数理?データサイエンス教育研究センターでは、現在、一般の皆さまを対象とした、数理?データサイエンスリテラシーを身に付けることを目的とするウェブセミナー作成を検討しています。ウェブセミナーをご提供できるようになりましたら、数理?データサイエンス教育研究センターウェブサイト等からお知らせする予定です。
【数理?データサイエンス教育研究センターウェブサイト】
https://www.ds.shimane-u.ac.jp/
【本件のお問合せ先】
島根大学企画部研究協力課
TEL:0852-32-9844