令和3年 学長年頭所感

公開日 2021年01月04日

 新年おめでとうございます。  

令和3年の年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 

 昨年は新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが発生し、まさしく世界が一変しました。未だに世界各地で感染者が増大し、また、国内におきましても感染者が急増している状態であり、収束する気配はありません。一方、海外では先行する国でワクチンの接種が始まるなど、収束に向けての期待も出てきています。ワクチンの接種の効果も合わせてパンデミックが早期に収束することを願っています。

 

 本学におきましても昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により教育、研究、医療等全ての活動を著しく制限せざるを得なく、教職員や学生の皆さん方には不自由な思いと多大なご苦労とご負担をかけることとなりました。特に授業に関しましては、前期はすべてオンラインに切り替え、後期では対面とオンラインを併用するなど、異例な対応をしてきました。このような状況は想定外であり、まさしく非常事態でしたが、全教職員や学生のご協力、ご尽力により、授業を継続して実施することができました。皆さまのご協力に厚く感謝申し上げます。

 

 さて、今年度当初、コロナ禍により多くの学生が経済的に困窮する事態となりました。このような状況において、地域にお住まいの方、卒業生、学生の関係者、地域の団体?企業、現職の教職員や教職員OB?OGなど本当に多くの方々から支援基金への寄附やお米などの食料品が寄せられ、困っている学生に支給することができました。これらは学生への大きな支援となりました。島根大学がこれほどまでに多くの方々に支えられていることを改めて知ることができ、感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。島根大学としては、ご支援頂いた方々への感謝の気持ちを忘れず、教育、研究、医療、地域貢献などあらゆる活動を通じて、今回頂戴しました恩に報いていくことが責務と考えています。県内では新たな感染者が毎日のように確認されている状況であり、感染拡大について予断を許さない状況です。引き続き緊張感を持って感染防止に努めながら、大学としての活動に取り組んでまいります。

 

 さて、今回の事態により社会が大きく変わろうとしています。社会生活において急速にデジタル化やリモート化等デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展し、アフター?ウィズコロナ時代における新生活様式として私たちの生活に浸透してくることが想定されます。また、国内や海外を問わず実際的な人の動きは滞った一方で、インターネット等を活用したヴァーチャルな人との交流が物理的な距離を乗り越え飛躍的に拡大するなど、新たなコミュニケーションの可能性も見えてきました。さらに国内では、リモート会議やテレワーク等を経験することにより、一人一人の人生観等に変化が生じ、「都会への集中」から「地方への分散」の意識が高まりました。このため、これまで限定的であった都会から地方への人の流れが拡大する動きも見られます。このような状況の中で、本学はアフター?ウィズコロナ時代を見据えた教育DXを推進すると同時に、各学部における専門教育を核にして現代的教育課題であるSTEAM教育、アントレプレナーシップ教育やリカレント教育等を充実させ、社会や地域のニーズに応え、Society 5.0に向けて活躍する人材を育てていきます。さらには魅力ある教育プログラムの開発?拡充や高大接続?入試改革を進めることによって県内の高校生や、地方に対する意識の高い都会の高校生を本学に呼び込むことで優秀な学生を確保し、地域との連携のもとに地域に定着してその活性化を担う人材、また、国内外で活躍する人材を育成していきます。そして、上記の教育による人材育成と卒業生の定着、国際水準の学術的研究と産学官連携や地域医療等により、島根創生に貢献してまいります。

 

 国立大学法人の第3期中期目標期間も残り1年余りとなり、今年は第4期中期目標期間に向けて島根大学としての新たな方向性を再定義する重要な年です。社会?地域のニーズを的確に把握した上で、本学の強みを生かしながら更なる機能強化を進め、他の大学にない突出した教育?研究領域を創出し「地域に活き世界に輝く大学」の実現を目指します。また、ステークホルダーとのエンゲージメントを基本にした経営に転換していく観点から、学生目線による教育をより強く展開することにより学生に対する責任を果たすと共に、島根県の自治体、企業、住民の全てを本学の主要なステークホルダーと再認識し、地域における知識の集積、高度人材育成とイノベーション創出機能の拠点として教育、研究、医療等に取り組むことで、地域からの信頼を高めていきます。

 

 本学を取り巻く環境は厳しい状況であり、また、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない状況ではありますが、希望をもって、ステークホルダーと共に未来を描き、全教職員?学生が力を合わせ、今なすべきことを最大限実行することによって島根大学の未来を創ってまいります。

 

 本年が皆様方にとりまして良い年になりますように、そして、島根大学がこれからも島根県と共に将来に向けて発展し続けることを祈念しまして、年頭の挨拶とします。

 

令和3年1月4日

国立大学法人島根大学

学長 服部泰直