公開日 2020年09月15日
免疫チェックポイント阻害療法は、がん細胞を攻撃するキラーT細胞の疲弊解除を目的とした画期的な治療法ですが、その奏効率は20~30%程度にとどまっています。今回、本学医学部免疫学講座 飯田 雄一助教の研究により、マウスモデルにおいて、抗原提示能を持った細胞(樹状細胞)をがん組織に誘導することで、この奏効率を改善しました。
キラーT 細胞の中にもがん細胞を攻撃するものとそうでないものがあります。研究ではマウスモデルを用いて、がん細胞を攻撃するキラーT細胞を増加させ、さらに免疫チェックポイント阻害療法との併用療法で抗腫瘍効果を増強することが確認されました。具体的には、CCL19 というタンパク質を産生する間葉系細胞を腫瘍局所へ投与します。 この CCL19 というタンパク質によって抗原提示能を持つ樹状細胞が呼び寄せられ、がん細胞を攻撃する T 細胞を活性化することで抗がん応答を増強します。CCL19 産生間葉系細胞の局所投与により、腫瘍に浸潤する活性化キラーT細胞が増加していることがマウスモデルで確認されました。 免疫チェックポイント阻害療法に加えて、この CCL19 産生細胞を投与したマウスでは、6 匹中 5 匹のマウスで腫瘍が完全に消失しました。
本研究成果は、2020年7月16日に科学雑誌Journal for ImmunoTherapy of Cancerに掲載されました。
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