公開日 2019年11月13日
11月12日(火)、松江駅前の松江テルサにおいて、第91回島根大学サイエンスカフェを開催しました。本学の医学部看護学科、福田誠司 教授を講師に迎え、白血病の病態解明と新しい治療法開発をテーマに開催し、33名の参加がありました。
2人に1人が何らかの「がん」に罹患する時代となりました。今回は、他の「がん」に比べると頻度は少ないものの、生活習慣対策では発症を予防できない病気であり、治療が難しい血液の「がん」である「白血病」をテーマに講演がありました。講演では、血液が作られる仕組みの説明から始まり、「白血病」とはどのような病気なのか、その原因、治療、難しい課題、そして未来へ希望が持てる最新の治療法等について、分かり易い説明がありました。
血液を構成する赤血球、血小板、T細胞、マクロファージ等の白血球は、全て血液幹細胞(造血幹細胞)から作られており、また、十分な量を供給するために毎日作り続けられていますが、そのダイナミックな増殖機能をいわば悪利用し、白血病細胞を急増させる「白血病」は完治が難しく、種類によっては治療法がないとされた時代もありました。現在では、その原因や増悪に至る仕組みの解明が進んでおり、特に、ノーベル医学生理学賞を受賞された本庶 佑教授の研究成果で有名となった免疫チェックポイント阻害剤の活用など治療法も進化していることから、確実に生存率が向上しているとの説明があり、参加者からは多数の質問や感想と共に、今後に期待を寄せるコメントが出されました。
福田教授の血液幹細胞(造血幹細胞)への尽きることのない興味と情熱が、今回のテーマである白血病の研究に繋がっていることも感じられ、講師の情熱に惹かれた参加者からの多くの質問があり、質疑応答で盛り上がりました。「白血病」という名前から、白血球が急増する病気だと思っていたが減少するとは意外、などのコメントもあり、増殖するのは白血病細胞であり白血球ではないなどトリビア的な発見もあり、予定の終了時間を超過するほどの活発なサイエンスカフェとなりました。
次回は12月15日(日)に、島根大学大发体育の学生市民交流ハウスFLATを会場に、講師に総合理工学部の千代 章一郎 教授をを迎え、「建築ってなんだろう?~牛乳パックを「建築」にするコツ~」をテーマにお話しいただきます。
今年度のサイエンスカフェのスケジュールは「令和元年度島根大学サイエンスカフェ開催のご案内」に掲載しております。
引き続き、皆さまのご参加をお待ちしております。
福田教授の講演の様子
会場の様子
質疑応答の様子