公開日 2018年10月24日
10月19日(金)、地域未来協創本部(北陵町)において第81回島根大学サイエンスカフェを開催しました。今回は、生物資源科学部の小川貴央准教授が「植物はどのように環境の変化に適応しているのか?」をテーマに講演を行いました。一般市民、企業の方など30名の参加者がありました。
講演では、植物は様々な環境ストレスにより最大生産能力の2割程度しか発揮できていないため、生産能力の向上のためには環境ストレスの研究が必要であり、主な環境ストレスである活性酸素種の説明がありました。活性酸素種は酸化力が非常に強いため細胞内のあらゆる成分を酸化して傷つけてしまう一方で、適切な量の活性酸素種であれば防御遺伝子が活性化してストレスに強くなるため、天使と悪魔の両側面を持つとの説明があり、参加者からは植物も人間も同じではないかとの感想がありました。
また、多くはビタミンから生成される補酵素と、葉緑体に局在するNUDXについて説明があり、補酵素の代謝改変やNUDXの導入によって防御系を活性化することにより、ストレス環境下でも生育可能な高付加価値作物を分子育種により作出し、食料増産、砂漠緑化などの課題解決に資する展望について説明がありました。
日頃知ることの少ない最新の研究成果についての丁寧な説明に、参加者はメモを取りながら熱心に聞き入りました。
講演後の質疑応答では、大きな付箋を用いて質問を書き出し、カテゴリ別に分けた上で講演者が回答する方式で行いました。植物の環境ストレスに関する質問から、昨今話題となることの多い遺伝子組み換え作物についての質問もあり、盛況のうちに終了しました。
次回の第82回サイエンスカフェは、11月13日(火)14:00~15:30に松江駅前の松江テルサ(松江市朝日町478?18)において本学の医学部の矢野彰三准教授を講師に「骨太の健康長寿計画~元気で長生きの秘訣は何ですか?~」をテーマに開催します。
皆さまのご参加をお待ちしております。
平成30年度サイエンスカフェ一覧
http://www.shimane-u.ac.jp/social-contributions/lifelong_study/sciencecafe/sciencecafe.html
サイエンスカフェ会場の様子
講演する小川准教授と話に聞き入る参加者
質疑応答の様子?