公開日 2017年07月31日
法文学部山陰研究センターでは、7月16日、シンポジウム「地域とつながる人文学の挑戦―山陰の文学?歴史学?考古学研究から考える―」を開催し、人文学の役割と意義について、地域貢献という観点から議論しました。
法文学部の板垣貴志准教授は、矢田貝家(やたがいけ:鳥取県伯耆町)の文書調査を、地元の戦前の暮らしを知る住民と共同で行うことにより、文書の読みが深化していることを報告しました。同学部の野本瑠美准教授は、手錢家(てぜんけ:島根県出雲市大社町)に伝わる和歌資料を古典講座で用い、参加者と共に江戸期の人々による和歌の学びを追体験していることを紹介しました。
ミュージアムの会下和宏教授は、島根県江の川流域の縄文時代以来の遺跡を訪れるミュージアム体験ツアーの活動を紹介しました。
法文学部の田中則雄教授は、江戸時代に大庄屋を務めた河本家(鳥取県琴浦町)の古典籍に関する研究成果を、地元の保存会と協力して発信していることを報告。附属図書館の昌子喜信情報サービスグループリーダーは、河本家の古典籍をデジタルアーカイブによって公開したことで、研究者のみならず一般市民や学生に対しても活用の可能性が大きく広がったことを、実演を交えて説明しました。
連載記事「人文学の挑戦」を担当した中国新聞文化部の林淳一郎記者は、地域でこそ深まる学びや研究があること、人文学の裾野は極めて広いことなどを述べました。
パネルディスカッションでは、以上の取り組みがいずれも文化財のある「場」に住民と研究者が集い、共同で学びを実践していることに注目。人文学は、人間の生きてきた痕跡を掘り起こし、記録し、意味づける営みであり、地域にはその生データが豊富に存在していること、人文学の成果は人の生き方の現在と未来を考える上で不可欠な礎となることを論じました。
【山陰地域における人文学の実践を報告】
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