公開日 2016年12月16日
島根大学附属図書館は奈良文化財研究所と共催で、11月28日、同研究所の平城宮跡資料館講堂を会場にして、シンポジウム「文化遺産の記録をすべての人々のために」を開催しました。全国21の国立大学図書館が連携して取り組んだ遺跡資料リポジトリの成果を、昨年6月に同研究所に移管して全国遺跡報告総覧が公開されました。このシンポジウムは、総覧公開後、2回目となるシンポジウムです。
今年のシンポジウムは、「全国遺跡報告総覧のメリットと公開までのハードル」をテーマとして、事務局からの報告3本、基調講演、参加機関からの事例報告3本の後、最後にパネルディスカッションを行いました。
奈良大学の坂井秀弥教授の基調講演では、大学で考古学教育を行う立場から、文化財担当者の養成教育においては発掘調査報告書が重要であり、全国の発掘報告書のデジタル版を集めて公開する全国遺跡報告総覧の充実が今後きわめて重要となると強調されました。参加機関からの事例報告として、長崎県埋蔵文化財センター、青森市教育委員会文化財課、秋田大学図書館からそれぞれ、これまでの経緯と今後の課題を報告いただきました。パネルディスカッションでは、全国遺跡報告総覧に参加することのメリットと課題をさらに掘り下げて議論しました。
シンポジウムをとおして、テーマとして掲げた「公開までのハードル」や著作権などの課題を明確にすることができ、一つ一つの課題をクリアするための道筋が見えて来た実り多いシンポジウムとなりました。
杉江実郎島根大学附属図書館長による開会挨拶
パネルディスカッション
パネルディスカッション
【日 時】
平成28(2016)年11月28日(月) 13:00~17:30
【会 場】
国立文化財機構奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂
〒630-8577 奈良市佐紀町247-1
【主 催】
全国遺跡報告総覧プロジェクト
【共 催】
国立文化財機構奈良文化財研究所 / 国立大学法人島根大学附属図書館
【後 援】
国立国会図書館 / 国立情報学研究所 / 全国埋蔵文化財法人連絡協議会
【プログラム】
報告「全国遺跡報告総覧の現況―参加機関数?登録件数?利用実績の推移―」
矢田貴史 島根大学附属図書館 企画?整備グループ
報告「全国遺跡報告総覧の現況―システムの機能改善の状況―」
高田祐一 奈良文化財研究所企画調整部 研究員
報告「全国遺跡報告総覧と文化財活用事業」
国武貞克 奈良文化財研究所都城発掘調査部 主任研究員
基調講演「大学教育と文化財保護―発掘報告書をめぐって―」
坂井秀弥 奈良大学文化学部文化財学科 教授
事例報告「長崎県における報告書のデジタル化と公開について」
古澤義久 長崎県埋蔵文化財センター 東アジア考古学研究室 主任文化財保護主事
事例報告「青森市における報告書デジタル化と公開への取り組み」
木村淳一 青森市教育委員会事務局文化財課 文化財主査
事例報告「秋田県におけるセルフアーカイブ移行に向けた取組について」
高橋 寛 秋田大学附属図書館 情報推進課 総括主査(学術企画担当)
案内「全国遺跡報告総覧に参加するには―参加手続き?参加してからしていただくこと―」
矢田貴史 島根大学附属図書館 企画?整備グループ
パネルディスカッション
コーディネータ: 坂井秀弥
パネリスト: 矢田、高田、古澤、木村、高橋、国武の各氏