第83回ミュージアム講座「出土文字資料からみた『古代出雲』 -墨書?刻書土器を中心に-」(兼:まつえ市民大学連携講座?島根大学COC事業)を開催しました。

公開日 2015年11月09日

 11月7日(土)、第83回ミュージアム講座「出土文字資料からみた『古代出雲』 -墨書?刻書土器を中心に-」(兼:まつえ市民大学連携講座?島根大学COC事業)を開催しました。
 この講座は、島根大学古代出雲プロジェクトセンターのメンバーがリレー形式で講義する、平成27年度島根大学ミュージアム市民講座第2ステージ「遺跡から探る『古代出雲』の成り立ち」の第2弾です。
 今回は、高橋周先生(出雲弥生の森博物館専門研究員)が講師を務め、出雲の古代遺跡から出土する墨書?刻書土器についてのお話をされました。
 「墨書土器」は、墨で文字が書かれた土器、「刻書土器」は、文字が刻まれた土器のことで、出雲国(島根県東部)では、これまでに、68遺跡から、それぞれ1671点、278点が出土しています。特に出土数が多い遺跡は、青木遺跡(出雲市東林木町)、出雲国府跡(松江市)、蛇喰遺跡(松江市玉湯町)、鹿蔵山遺跡(出雲市大社町)、築山遺跡(出雲市上塩冶町)などです。
 これらの遺跡から見つかった文字がある土器からは、様々な情報が分かります。例えば、出雲国府跡から見つかった墨書土器には、別の郡である「出雲郡」の地名が書かれたものが見られます。すなわち、離れた場所にあった土器が国府にもたらされたわけです。
 また、「蘇」と書かれた土器が、神庭丘陵北遺跡(出雲市斐川町)で見つかっています。蘇とは、牛乳から作った、古代のチーズのような食品です。興味深いことに、この遺跡の近くにある西谷遺跡(出雲市斐川町)では、奈良時代の牛の足跡が見つかっています。どうやらこの一帯には、古代の「牧」があり、牛が飼育されていたようです。そして、そこで絞った牛乳から「蘇」が作られていたのかもしれません。
 講座では、このほかにも、土器に書かれた文字から、様々なことが分かる事例を解説され、参加された方々は興味深く聴講されていました。また、実際に出雲市の遺跡から出土した墨書土器?刻書土器を手に持つ機会にも恵まれ、どこに文字があるのか、皆さん熱心に観察されていました。

講座の様子1

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講座の様子2

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 次回の講座は、「出雲国府と出雲国誕生」(12/5)です。引き続きよろしくお願い致します。

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