公開日 2015年10月20日
教育開発センターの2015年度第4回FDセミナーが9月28日、島根大学大学会館おいて開催され、教職員20名が「地域課題解決にむけた評価法とは」をテーマにワークショップに参加しました。
第3期中期目標における各国立大学の機能強化の方向性に応じた取組みを細かく支援するため、予算上、三つの重点支援の枠組みが新設されています。
島根大学は「主として、地域に貢献する取組みとともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み?特色のある分野で世界?全国的な教育研究を推進する取組を中核」とすることを目指しています。そのために、具体的な取り組みを策定するとともに、測定可能な評価指標(KPI)等を独自で設定することが求められています。
そこで、自己評価能力を向上させるための基本的な視点を学ぶとともに、計画立案段階で現行の課題や問題を可能な限り把握し、適切な指標等の設定を行うためのワークショップを開催しました。
「大学評価」について見識が深い、山形大学学術研究院教授の浅野 茂氏、鳥取大学大学評価室准教授/学長室IRセクション学長特別補佐の大野 賢一氏に講師に迎えました。
浅野氏の講演は、近代経営学の父と言われるP.F.ドラッカーにして「大学に経営の理論を導入しようとして大失敗した」という話から始まりました。大学などの非営利組織の経営においては、利潤のような“目安”が無いため、「成果」についてさまざまな解釈が可能になり、評価が難しくなります。だからこそ、大学は自らの経営を評価?改善していく必要があり、測ることが可能な指標を自分達で作り出していかなければならないと、としました。
ワークショップでは「(独)大学評価?学位授与機構EA(Evaluability Assessment)研究会」で開発?実践している内部質保証力向上支援ツールを用いて、3つのグループに分かれて、地域貢献に係る演習課題を素材に演習に取り組みました。
参加者からは「説明は、理解しやすく、他分野の大学構成員の意見を聞くことができて有益な時間だったと思う」「課題を挙げてから、それをポジティブな目的に変換して、次にものさしを考える流れ、いいですね」「多様な考え方に触れ、多くのワークショップに取り組む中で、発見できることがあることを実感できた」という肯定的な感想や「地域評価にも使えるかなと思いました」「内容がわかりやすく、授業にも活かせる内容だと思いました」と、セミナーで得た知識を基に自らの取り組みの中で発展させたいという意見もあり、教育効果の高いセミナーでした。
しかし、参加者から「日常業務が忙しい中で,FDセミナー等の研修に時間をとることがきわめて困難である」「参加して良かったと思ったが、忙しくて職場を抜けることが難しい」という意見もあり、「全学共通の、講義や会議を設定しない時間帯をつくることが必要かもしれない」と、今後FDセミナーの実施時期、実施方法等について検討する必要があるとの指摘もありました。
文責 岩瀬峰代(島根大学 教育開発センター 准教授)