公開日 2014年11月17日
11月15日(土)、第73回島根大学ミュージアム市民講座「初代松江警察署庁舎の建築復原について」を開催しました。
今回の講座では、建築学をご専門にされている安高尚毅先生(島根大学総合理工学研究科助教)に、このたび、松江市の文化財に指定されるはこびとなった初代松江警察署についての建築学的、歴史的価値についてお話をしていただきました。
老朽化に伴って今年解体された松江市雑賀町の線香製造工場が、じつは、もとの初代松江警察署庁舎だったことが、今回、調査によって判明しました。1880(明治13)年、松江市殿町に建てられた初代松江警察署庁舎は、1885(明治18)年竣工の旧隠岐市庁(現隠岐郷土館)よりも古く、山陰地方に残る最古の近代公共建築物になります。隣接する島根県尋常師範学校(島根大学教育学部の前身校)で英語を教えていた小泉八雲も日常的に目にしていたことでしょう。
また、現存する警察署のなかで国内最古とされる1883(明治16)年10月竣工の旧本庄警察署(埼玉県?県指定文化財)や、明治17年11月竣工の旧鶴岡警察署庁舎(山形県?国指定重要文化財)よりも古くなる警察署庁舎のようです。建築学的にも明治初期の正統な洋風建築で大変貴重なものです。
安高先生の見解では、国の重要文化財に指定できる価値をもつとのことでした。
安高先生の丁寧で分かりやすい解説によって、この建物の価値をよく理解することができました。参加者からは多くの質問がなされるなど、建物に対する関心の高さがうかがえました。現在、建物の部材は、文化財として大切に保存されています。重要文化財級のこの建物が、いずれ再建されて、わが国の貴重な財産として公開?活用されることを切望したいと思います。