公開日 2014年09月04日
平成26年8月25日(月)、くにびきメッセにおいて第55回島根大学サイエンスカフェ「手足の指の形づくりに関わる細胞死:カエルと我々哺乳類の間で明らかとなった共通の仕組み」を開催し、一般市民31名が熱心に聴講しました。講師の西川 彰男 教授(生物資源科学部)は、カエルでの指間細胞死(指の間の不要な部分を削り、指を形成するしくみ)の存在を証明する実験を通して、人とカエルの指形成に共通する形づくりの仕組みを丁寧に解説しました。
両生類の指形成は、肢芽の細胞分裂の頻度の差によって起こり、羊膜類(爬虫類?鳥類?哺乳類)の指形成で見られる指間細胞死は関与していないということがこれまでの定説でした。
西川教授は、羊膜類の指形成で見られる細胞死誘導因子(BMP)が両生類の肢芽でも同様に発現していること等を踏まえ、指間細胞死がカエルの指形成でも起きているのではないかと考えました。ツメガエルを使った実験により、肢芽部分で切断DNAが観察され細胞死が確実に認められたこと、更に指間でBMPが作られていることが分かり、カエルの指形成にも指間細胞死が関与していることを明らかにしました。
更に、カエルでの指間細胞死はカエルの指形成の発生速度が遅く、個体のサイズが小さいため検出が難しいことが実験で示されたこと、ツメガエルの手足の間充織において細胞死の発現に違いが見られたことなどについても解説し、「指の組織や細胞の間の相互作用を調べることを通して、私たちの体がどのように作られるのかがわかる。」と話を締め括りました。
質疑応答では、参加者から「細胞死の役割を人間のがん細胞に応用できないか。」などの質問が出されました。
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? 西川教授の講演と会場の様子
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