公開日 2012年11月29日
平成24年10月29日(月),松江テルサにおいて第45回島根大学サイエンスカフェ「植物を病気にするカビの話~植物が病気になるしくみとその予防法について~」を開催し,一般市民ら72名の参加がありました。
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講師の上野 誠 准教授(生物資源科学部)は,植物の病気の8割が植物に付着して栄養を取る糸状菌(カビ)によるものであることを説明し,イネいもち病,イチゴ灰色かび病,ネギさび病,キュウリうどんこ病など,カビを原因とする身近に潜む植物の病気を紹介しました。また,そうした病気が広がるしくみとして,植物を病気にするカビの胞子が植物の中に入り,夜になると昼間浴びた紫外線を使って新たな胞子を形成すること,形成された胞子が別の植物に付着することで次々と病気が感染し広がることを解説しました。
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植物の病気を防ぐには,病気に強い抵抗性のある品種を選んで植える耕種的防除,種や土壌を熱で殺菌するなどの物理的防除,きのこなどの微生物を使って病気を防ぐ生物的防除,農薬を散布する科学的防除といった方法があります。上野准教授は,こうした防除に加えて,自身が研究している光を用いた病気の防除について紹介しました。キュウリ渇班病など自然光では病気が進み最終的に枯れてしまうものが,赤い光をあてることによって病気が減ること,うどんこ病の植物に,ある特殊な光を当てると病気が抑えられるといった実験結果を示し,「電気代が高く実用化は難しいが農薬を使用しない病気の防除を目指して研究をしている。」と研究への意気込みを述べました。
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質疑応答では,「白くなっている部分を食べても大丈夫か。」,「光を用いた防除には副作用がないのか。」,「家で栽培している玉ネギが腐りやすいが土壌改良が必要か。」,「農薬ではなく自然のもので病気を防ぐことはできるのか。」などたくさんの質問をいただきました。
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上野准教授と講演の様子
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休憩時間の様子
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