公開日 2011年08月29日
平成23年7月25日(月),くにびきメッセで第36回島根大学サイエンスカフェ「原子力,放射能を考える」を,総合理工学部の阪本滋郎教授を講師に迎えて開催しました。
テーマは福島原発事故を受けて,関心が高まっている原子力と放射能について基礎的な知識を学んでもらおうと取り上げたもので,一般市民ら74名が原子力のしくみ、放射能の種類?単位と人体への影響,原子力利用の問題点について理解を深めました。
阪本教授は、物質の成り立ちである原子核や陽子、中性子の性質を説明した上で,中性子の制御によってウランの核分裂の連鎖反応を制御する原子力発電のしくみを丁寧に解説しました。また,福島原発事故以来,頻繁に耳にするシーベルト(Sv)という単位で知られる放射線の人体への影響について、最近の研究では放射線が体内の水分子に当たって発生する毒性の活性酸素によって細胞の遺伝子が攻撃され、長い時間をかけて癌化することが分かってきたこと,100ミリシーベルトより低い放射線の影響については現状ではまだはっきりとわかっていないことを説明しました。
更に,阪本教授は,原子力利用で残る放射性廃棄物の処理を今後の重要な問題として捉え,例えばセシウム137で30年,ウラン238で40億年とされるように,放射性物質が半減するまでの時間(半減期)の長さを指摘し,これらをどこに埋めるのか,誰が管理するのかなどの問題を挙げるとともに,「原子力利用の是非については意見の偏らないフェアでオープンな議論が必要であり,放射線の影響についても無闇に怖がる前に,正しい知識を学ぶことが大切である。」と自身の考えを述べました。
質疑応答では,世界的に原発はやめた方がいいのか,原発のプラス面は何か,福島の状況は今後どうなるのかなど,質問が相次ぎました。
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