島根大学お宝研究vol.14
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?プロジェクトリーダー …縄手 雅彦 Masahiko Nawate(学術研究院理工学系?総合理工学部担当?教授)It is often difficult for children with ADHD to maintain attention during work such as learning. As a result, learning may be difficult, and in classrooms, teachers may reduce noticeable stimulants such as bulletin boards near the blackboard. However, we have found that, conversely, their concentration continues by incorporating dynamic visual stimuli, that is, motion into the screen.When the screen itself of the Go / NoGo task that is often used in psychology (a task that responds only to the Go stimulus and ignores the NoGo stimulus, which ADHD children often fail and make mistakes) is made into a movie of a spacecraft flying, we found that mistakes are almost gone. We are currently trying to apply these findings to a game of their poor memory task.心理学でよく用いられるGo/NoGo課題(Go刺激だけに反応し,NoGo刺激は無視する課題で,ADHD児はお手付きや見逃しが多いもの)の画面自体を宇宙船が飛行する動画にして行うとミスがほとんどなくなることがわかりました。この発見を応用して,彼らの苦手な記憶課題をゲーム化することを現在試みています。2図1Normal課題Game課題図2 開発中のWM訓練ゲーム動的視覚刺激によるADHD児の注意持続の向上Improvement of concentration of children with ADHD by dynamic visual stimulus研究者紹介概 要ADHD児は学習などの作業中に注意を持続することが難しい場合が多く見られます。そのために学習に困難を生じることもあり,教室などでは黒板付近の掲示物など注意を引きそうな刺激物を減らしたりすることもあります。しかし,我々は逆に過剰なくらい動的な視覚刺激,すなわち画面に動きを取り入れることで彼らの集中が続くことを見出しました。特色?研究成果?今後の展望Go/NoGo課題とは画面に不定間隔でランダムにGo刺激とNoGo刺激が提示されるもので,Go刺激のときのみボタンを押すなどの反応を求められるものです。ADHDではお手付きや見逃しが多発し,健常児に比べ成績が非常に悪くなります。ところが,図1に示すように背景を宇宙船が進む動画にして同じ課題(ゲーム課題)を行ったところ,ミスが激減しました。画面に「見入る」ような状態になり,反応速度は若干落ちるものの,ほとんどノーミスで作業ができるようになります。ADHDでは身体に入る刺激が不足する場合に自己刺激活動を入れ,すなわち身体を動かしたりキョロキョロしたり,ということを行って不足する刺激を補う動作が知られていますが,画面に動的なものを入れることで画面への集中力が増すことがわかりました。これを応用して,彼らの苦手なものを覚えて作業するようなゲームに動的な背景や刺激を加えることで,ワーキングメモリ訓練を効果的に行えるのではないかと期待されます。現在,図2に示すようなゲームを開発中で実際にADHD児童に遊んでもらって効果の検証を進めていく予定です。社会的実装への展望ADHD児は教室での教員の指示や学習する内容への注意が持続しないことで学習や学級活動でミスを多発し,自尊感情の低下を招くことで学習意欲が低下する危険性があります。今回のような動きを取り入れることで,学級での彼らの注意を引き付ける手法としての応用が期待されます。山陰地方における医療?福祉?教育への情報技術の実践的な活用Practical application of ICT for medical care, welfare and education
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