島根大学お宝研究vol.14
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Role of a novel gene, FAM210A (family with sequence similarity 210, member A), on bone and muscleOsteoporosis and sarcopenia are aging-related diseases associated with the deterioration of bone and muscle strength, resulting in frailty in elderly people. Therefore, both diseases have become worldwide social issues. An association between muscle and bone has been recognized as the muscle-bone interaction. We reported Tmem119, osteoglycin and FAM5C as factors involving muscle-bone interaction. In this study, we aim to examine roles of a novel gene “FAM210A” on bone and muscle.向上につながります。37本研究の概要 2018年,2019年アメリカ骨代謝学会で本研究の成果を発表しました。研究者紹介田中 賢一郎 Ken-ichiro Tanaka(学術研究院医学?看護学系?医学部附属病院担当?助教)(令和2年3月現在)概 要骨粗鬆症やサルコペニア(加齢や疾患による筋量?筋力?身体機能の低下)は高齢化に伴い急増し,両疾患の予防?治療法の確立は急務です。近年,筋肉と骨は相互に関連(筋骨連関)し,骨粗鬆症とサルコペニアは互いに関係した病気であることがわかってきました。これまで,私共は筋骨連関に関連する因子としてTmem119,オステオグリシン,FAM5Cなどを同定し,世界に先駆けて報告しました。現在,新規遺伝子FAM210Aの筋,骨組織における役割について研究しています。特色?研究成果?今後の展望大規模ゲノムワイド相関解析により,骨折リスク増加に関係する新規遺伝子としてFAM210Aが発見されました(Nature Genet 2012)。骨折リスク増加に関わる遺伝子の多くは骨に存在しますが,FAM210Aは骨にはなく,筋肉,脳神経,心筋に多く存在するというユニークな特徴があります。私共はヒトにおけるFAM210Aの一塩基多型(SNP)を用いた臨床研究と,FAM210Aを全身または筋肉のみに欠損させたマウスを用いた基礎研究により,FAM210Aは骨密度,筋量?筋力の維持に重要であることを報告しました(PNAS 2018)。現在,脳神経や心筋のFAM210Aを特異的に欠損させたマウスを作成し,FAM210Aの骨や筋肉への影響を検討しようとしています。新規のFAM210A遺伝子に注目して研究を進めていくことは私たちが初めての試みであり,本研究を発展させ,将来的には骨粗鬆症やサルコペニアの予防や治療に臨床応用することを最終目標と考えています。社会的実装への展望FAM210Aの研究が骨粗鬆症やサルコペニアの予防や治療に臨床応用されれば,高齢者の健康寿命の延伸やQOL(生活の質)新規遺伝子FAM210A(familywithsequencesimilarity210,memberA)の筋,骨組織における役割の検討

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