島根大学お宝研究vol.14
40/50

Combination cancer immunology therapy of immune checkpoint blockade and novel cell therapyAlthough CD8T cells are major effector cells which attack cancer cells, almost of them are exhausted. Immune checkpoint blockade (ICB) therapy was established to restore CD8T function. Even though ICB therapy is innovative, the efficacy is 20~30%. We demonstrated to accumulate innate immunie cells at tumor site in murine model and to improve ICB efficacy.36CCL19産生間葉系細胞の局所投与によってキラーT細胞ががん細胞を攻撃する様子大发体育免疫学会でラボメンバーとの様子(一番左が飯田)研究者紹介飯田 雄一 Yuichi Iida(学術研究院医学?看護学系?医学部担当?助教)概 要がん細胞を攻撃する主役はキラーT細胞という免疫細胞が担っていますが,その多くは疲弊しており十分な機能を発揮していないことが分かっています。そこで,キラーT細胞の疲弊解除を目的とした治療法が免疫チェックポイント阻害療法です。免疫チェックポイント阻害療法は画期的な治療法である一方で,奏効率の高い癌腫でも20~30%というのが現状です。我々は,腫瘍局所に抗原提示能を持つ自然免疫細胞を集積させる方法をマウスモデルで確立し,免疫チェックポイント阻害療法の奏効率改善を目的とした治療法の検討を行いました。特色?研究成果?今後の展望キラーT細胞は,がん細胞を攻撃する抗がん免疫応答に重要な役割を担っています。しかしながら,腫瘍に浸潤しているキラーT細胞はその多くが,疲弊分子であるPD-1というタンパク質を細胞表面上に発現しています。この分子の機能を無効にし,キラーT細胞を再活性化する治療法が,免疫チェックポイント阻害療法です。この発見で本庶佑先生は2018年ノーベル医学生理学賞を受賞されています。キラーT細胞の中にもがん細胞を攻撃するものとそうでないものがあります。我々の研究ではマウスモデルを用いて,がん細胞を攻撃するキラーT細胞を増加させ,さらに免疫チェックポイント阻害療法との併用療法で抗腫瘍効果を増強することが確認されました。具体的には,CCL19というタンパク質を産生する間葉系細胞を局所投与することで,腫瘍に浸潤する樹状細胞を増加させ,がん細胞を攻撃するT細胞を活性化することで抗がん応答を増強します。CCL19産生間葉系細胞の局所投与により,腫瘍に浸潤する活性化キラーT細胞が増加していることがマウスモデルで確認されました。今後は,異なる癌腫においても同様の抗腫瘍効果があるかどうかについて検討していく予定です。社会的実装への展望本基礎研究により,抗がん免疫応答の理解が深まり将来的に腫瘍微小環境改善の応用が期待されます。免疫チェックポイント阻害療法と新規がん免疫細胞療法による相乗効果の検討

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る