島根大学お宝研究vol.14
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?センター長 …………………吉山 裕規 Hironori Yoshiyama(学術研究院医学?看護学系?医学部担当?教授)廣瀬 昌博 Masahiro Hirose(学術研究院医学?看護学系?医学部担当?特任教授) 和田孝一郎 Koichiro Wada(学術研究院医学?看護学系?医学部担当?教授) 原田  守 Mamoru Harada(学術研究院医学?看護学系?医学部担当?教授) 石川 孝博 Takahiro Ishikawa(学術研究院農生命科学系?生物資源科学部担当?教授)Epstein-Barr virus (EBV), which belongs to the herpes virus, is persistently infected to most adults in the form of latent infection. However, cells persistently infected with EBV receive constant proliferative stimulation. Thus, cancer may develop from EBV-infected cells in situations where immune resistance decreases due to aging. The 120,000 patients with EBV-related tumors occur worldwide each year. We clarified that strong expression of viral micro RNA leads to tumorigenesis of cells in epithelial tumors such as nasopharyngeal cancer and EBV-associated gastric cancer. And we found a new regulatory mechanism of EBV microRNA.28EBウイルスのマイクロRNAの発現抑制による重篤なEBウイルス関連疾患の新しい治療法の開発Development of a new treatment for severe EB virus-related diseases by suppressing viral microRNA研究者紹介概 要ヘルペスウイルスに属するEpstein-Barr(EB)ウイルスは,ほとんどの成人が潜伏感染という様式で持続感染しています。しかし,EBウイルスが持続感染した細胞は常に増殖刺激を受けているため,加齢などにより免疫抵抗性が低下すると,EBウイルス持続感染細胞からがんが発生することがあります。世界的には毎年12万人のEBウイルス関連腫瘍の患者が発生していると言われます。私たちは上咽頭がんやEBウイルス関連胃がんなどの上皮性腫瘍でウイルスのmicroRNAが強く発現し,細胞を腫瘍化に導くことを明らかにし,その新しい調節メカニズムを発見しました。特色?研究成果?今後の展望EBウイルスは,細胞に潜伏持続感染し,腫瘍や重篤感染症を起こします。しかし,EBウイルス感染症に有効な抗ウイルス薬やワクチンの開発は遅れています。ウイルス感染細胞で大量に発現する,ウイルスのmicroRNAは,ウイルスの持続感染を促進し,細胞は継続的に増殖します。そこで,ウイルスのmicroRNAの抑制により,EBウイルス関連腫瘍細胞を細胞死に導く,抗がん剤/抗ウイルス薬を発見しました。現在研究中の薬剤由来の修飾化合物や新しく探索した薬剤から,治療薬を開発します。社会的実装への展望研究成果の一部をもとに島根大学が出願人の「特開2019-38755 Epstein-Barr ウイルス関連癌に特異的な抗腫瘍剤」を取得しました。薬剤の標的となる分子に関する特許であり,今後候補になる薬剤を絞り込んで,小動物試験による効果と安全性の試験を重ねて,新しい抗ウイルス薬の開発が期待できます。健康長寿のための感染症包括ケアプロジェクトセンターInfectious disease comprehensive care project center for longevity in the healthy condition

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