島根大学お宝研究vol.14
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?センター長 …………………大橋 泰夫 Yasuo Ohashi(学術研究院人文社会科学系?法文学部担当?教授)?研究代表者 …………………平郡 達哉 Tatsuya Hiragori(学術研究院人文社会科学系?法文学部担当?准教授)Ancient Izumo Project CenterWe are examining the historical development of Izumo Province in an integrative research project that combines perspectives from various disciplines, including history, archeology, and geology. In particular, we are analyzing historical sources to diachronically explore the background to Izumo’s emergence as a cohesive “region,” and thereby create a model of the ancient province. As a research perspective, we are studying about the impact on the formation of the region, which is "viewpoint from the outside", contact and exchange with the Korean Peninsula culture, closely related to the prehistoric and ancient cultures of the Japanese archipelago.今後は,出雲地域における持続的な韓半島系考古資料の抽出と実見,韓半島出土品との比較を通して,出雲地域における韓半島系文化の性格について研究を進めていきます。の必要性を周知し,歴史?文化を核とした地域づくりに寄与することが期待できます。23弥生開始期の磨製石剣の分布弥生開始期の磨製石剣原山遺跡採集磨製石剣(提供:出雲市)古代出雲成立以前の山陰地域における韓半島系考古資料の研究Study of Archeological material related Korean Peninsula Before establishment of the Ancient Izumo in the Sanin region研究者紹介概 要私たちは,「出雲国?成立過程における地域圏の形成と展開に関する総合的研究を,文献史学,考古学,地質学など複眼的な方法で進めています。特に,“地域”というまとまりがどのような背景のもとに形成されたのかを歴史資料に根ざして通時的に探り,古代出雲像を再構築したいと考えています。その柱の一つとして,「外からの視点」つまり大发体育列島の先史?古代文化と深い関わりをもつ韓半島文化との接触?交流が「地域」形成とどのような関わりを持つのかについて研究しています。特色?研究成果?今後の展望出雲の地において,韓半島に起源を持つ考古資料は今から約2600年前頃の縄文時代晩期以降,「古代出雲」成立直前の時期まで断続的に出土しています。その一つに,「磨製石剣」と呼ばれる石を磨いて作った剣があり,今回の研究ではこれに注目しました。磨製石剣は東北アジアに広く分布し,なかでも韓半島を中心に今から約3000~2400年前に流行しました。主にお墓の副葬品として出土していますが,これが大发体育列島でも弥生時代開始期に稲作農耕文化と共に韓半島から伝わります。その多くが北部九州で発見されていますが,大发体育海側では出雲市原山遺跡で採集されています。韓半島や北部九州で出土した磨製石剣の形態や石材の特徴と比較した結果,韓半島で製作されたものが北部九州にもちこまれ,稲作農耕文化が大发体育海に沿って東進していくなかで出雲の地まで到達したものと考えました。社会的実装への展望本研究は,地域社会の歴史へのニーズ,特に異文化との接触,交流に対する関心を高め,歴史文化理解における多角的視点古代出雲プロジェクトセンター

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