島根大学お宝研究vol.14
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?センター長 …………………藤田 恭久 Yasuhisa Fujita(学術研究院理工学系?総合理工学部担当?教授)?研究代表者 …………………牧之瀬佑旗 Yuki Makinose(学術研究院環境システム科学系?総合理工学部担当?助教)Nanotechnology Project Center宮崎 英敏 Hidetoshi Miyazaki(学術研究院環境システム科学系?総合理工学部担当?教授)Rice hull ash (RHA) was prepared by firing rice hull at 300-1000℃. Subsequently, the resulting RHA (fired at 400℃, amorphous silica) was carried out using hot water treatment / hydrothermal treatment. The potassium component in the RHA was removed by hot water / hydrothermal treatment, thereby; high purity silica was obtained by hot water treatment / hydrothermal treatment of RHA.私たちの研究グループでは,これまでに水熱処理により廃ガラスからナトリウムをほぼ完全に除去し,リサイクルセメントのシリカ源として利用することに成功しました。この研究は,水熱処理によりもみ殻を焼成したもみ殻焼成灰からカリウムなどの成分を抽出分離することで,高純度シリカ(充填剤)とカリウム高含有材料(肥料)を得ることを目的としています。もみ殻を焼成して発電する機械が作られており,もみ殻を燃料として使うことにより電気エネルギーを得ることができます。一方で排出される灰は黒ずんでおり,シリカの原料として使うには難しい状態です。この研究では空気を大量に流入して焼成する方法を用い,600℃の処理で黒色だった製品を400℃程度の低温で白色化することができるようになりました。また,処理に薬品を用いず水のみを使うため,処理液を乾燥させた粉末(高濃度カリウム含有粉末)を肥料として使うことも可能です。本研究では廃棄されるもみ殻から,「高純度白色シリカ(96%)」,「高濃度カリウム含有粉末」の分離に成功しました。今後は得られた「高純度白色シリカ」や「高濃度カリウム含有粉末」の応用やスケールアップを展開します。19もみ殻焼成灰処理フローもみ殻灰のソフトケミカル処理による有効利用化Designing of synthesizing high purity silica by decarbonization of rice husks by air flow firing and subsequently hot water treatment of the resulting rice husk ash研究者紹介概 要農林水産省の廃棄物等発生量報告では,国内でもみ殻は年間約180万トン程度発生しています。これらは畜舎や堆肥などに利用され,残りは廃棄されます。一方で,もみ殻中には20%程度のシリカおよび数%のカリウムが含まれており,それらを分離し,シリカ源,カリウム源として有効利用することが期待できます。特色?研究成果?今後の展望この研究の特色は廃棄物として扱われるもみ殻を,図のように焼成-温水処理することによって,炭素分を“熱-電気エネルギー”,焼成灰を“高純度シリカ”,処理液を“肥料用カリウム”として有効活用できる点にあります。社会的実装への展望もみがらの有効活用方法を広げることができ,さらにはごみを削減できるようになります。ナノテクプロジェクトセンター

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