島根大学お宝研究vol.14
10/50
?プロジェクトリーダー …飯田 拡基 Hiroki Iida(学術研究院環境システム科学系?総合理工学部担当?准教授)実用的有機合成技術の開発に繋がることが期待できます。Naturally occurring vitamin B2 is synthesized by microbial fermentation, and thus is obtained commercially with lowcost. Using the vitamin B2-derived organocatalysts and iodine catalyst, we developed a novel environmentally friendly method for the synthesis of sulfenylated pyrazoles which often display important biological and pharmacological activities.6フラビン/ヨウ素触媒を用いた酸素酸化的スルフェニル化反応による含硫黄ピラゾール類の合成天然由来のビタミンB2とヨウ素触媒を用いた環境付加の低いスルフェニル化ピラゾールの合成Environmentally friendly synthesis of sulfenylated pyrazoles using coupled vitamin B2/iodine catalysis研究者紹介概 要ビタミンB2は微生物を用いた発酵法により大量生産され,安価に入手できる天然由来の機能性有機化合物です。我々はビタミンB2から合成した有機分子触媒をヨウ素触媒とともに用いることにより,生理?薬理活性物質の鍵構造として有用な含硫黄ピラゾール化合物を,従来法に比べて環境負荷の少ない方法で合成できることを見出しました。特色?研究成果?今後の展望ピラゾール化合物は生理活性?薬理活性物質にしばしば見られる重要な有機構造であり,このピラゾールに硫黄を付加させた含硫黄ピラゾールも医薬候補として盛んに研究がなされています。我々は,ビタミンB2由来の有機分子触媒と酸化還元触媒として働くヨウ素を組み合わせた非金属触媒系を用い,ピラゾールのスルフェニル化を穏和な条件下で進行させることを始めて見出し,環境負荷の低い含硫黄ピラゾールの合成手法を開発しました。本手法は空気中の酸素によって駆動し,無害な水のみを副生成物として生じるという環境面での大きな利点があります。ヨウ素は,大发体育が全世界生産量の約30%を産出する貴重な国産天然資源であり,金属ではないにも関わらず興味深い酸化還元能を示します。このヨウ素を触媒として用い,ビタミンB2由来の触媒と組み合わせることで,従来にない手法の開発に成功しました。社会的実装への展望本研究で見出した手法は,現代化学の重要な課題であるグリーンケミストリー(環境に優しい化学)の概念に合致した新しいバイオマス?地域資源を活用する環境調和型触媒および機能性有機材料の開発Development of environmentally friendly chemical transformations and functional organic materials using biomass resources
元のページ
../index.html#10