島根大学お宝研究Vol.13
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新型人工骨ネジを開発することです。私たちは2004年から,手術場で患者さんから採取した骨をネジへ加工し骨折治療を行う「骨ネジ」の開発を行ってきました。骨は金属と比較し強度が劣るため,ネジの固定力を維持しつつ,骨ネジ自体の強度が高くなるようネジ形状を工夫する必要がありました。試行錯誤した結果,これまでにない新しいネジ形状の開発に成功し,臨床応用でも良好な治療成績を得ています。他方,近年様々な人工骨材が開発され,人工骨ネジも製品化され医療市場に流通しています。生体内で自然吸収される本ネジは,抜去する必要がなく骨ネジ同様優れた医療部材と言えます。しかし人工骨ネジも骨ネジと同じ問題を抱えていました。ネジ自体の強度問題です。人工骨ネジの形状は高強度な金属ネジを模したものであり,素材強度が劣ることへの対策や工夫も不十分でした。そこで,私たちが開発した骨ネジ形状を人工骨ネジへ応用することで,強度問題を解決した新型人工骨ネジができると考え本研究を開始しました。2020年度からの製品化を目指し研究開発を行っています。Medicalscrewsforosteosynthesisareusuallymadeofmetalssuchastitanium;typically,artificialbonescrewsarenotascommonlyusedbecauseoftheirinferiorstrength.Since2004,ourgrouphasbeendeveloping"bonescrewsystem",whichisanovelosteosynthesistechniqueusingtheNC(numericalcontrol)lathetopreciselyprocessbonescrews.Previously,weinvertedanewscrewdesignusingthissystem.Here,wedevelopanimprovedartificialbonescrewbyapplyingthenewscrewdesign,whichwillhaveatougherbodythanthecurrentdesign.?プロジェクトリーダー 今出 真司ShinjiImade(学術研究院医学?看護学系?医学部担当?助教)内尾 祐司YujiUchio(学術研究院医学?看護学系?医学部担当?教授) 若槻 拓也TakuyaWakatsuki(医学部?整形外科?医科医員) 古屋 諭SatoshiFuruya(島根県産業技術センター?研究幹) 中澤耕一郎KoichiroNakazawa(島根県産業技術センター?専門研究員) 須澤 敏郎ToshiroSuzawa(帝人メディカルテクノロジー株式会社?営業部主任) 森井 敬HiroshiMorii(帝人メディカルテクノロジー株式会社?工場長)14研究者紹介概 要骨折治療用のネジの主流は金属ネジですが,人工骨ネジも流通しています。しかしネジ自体の強度不足から使用範囲が限られ,適応拡大は進んでいません。私たちはこれまで行ってきた骨ネジ研究を通じて,固定力を維持しつつネジ自体の強度を高めることのできる新規ネジ形状を開発しました。既存の人工骨ネジには金属ネジと同様の形状が採用されています。本研究では新規ネジ形状を既存の人工骨ネジへ応用し,弱点を克服した新型人工骨ネジの開発と製品化を行います。特色?研究成果?今後の展望本研究の特色は,骨ネジ開発で得た知見を既存の人工骨ネジへ応用し,ネジの固定力を維持しつつネジ自体の強度を高めた,社会的実装への展望本研究により,新型人工骨ネジを開発し製品化することで,臨床現場における人工骨ネジの適応拡大が期待できます。特に骨粗鬆症患者さんへの使用が良い適応です。抜去不要の点で骨ネジも候補ですが,脆くなった骨を骨ネジへ加工することは難しく,人工骨ネジの重要性は高まります。高齢先進県である島根県の地域特性を生かし,全国へまた世界へ,優れた技術を提供していきます。新型人工骨ネジ開発Development of novel style artificial bone screws 骨折治療支援システムを応用したテーラーメイド骨粗鬆症患者用人工骨ネジの開発Development of tailored artificial bone screws for patients with osteoporosis using the osteosynthesis assistance system
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