島根大学お宝研究Vol.13
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Thisresearchaimsforlearnerstoacquirethehighlyadvancedskillimageofwoodprocessing,throughlettingthemexperienceasavirtualsenseusingVRtechnologyandforcesenseinformation,basedonthesophisticatedmodelswehaveelucidated.Thelearnerexperiencesasiftheywereusingadvancedskillslikethemasterofwoodprocessing.Ifthisnewtrainingmethodisestablished,everyonecansurelyacquireadvancedwoodprocessingskillsforacertainperiodoftime.Inthispaper,basedontheintensiverecordofdetailedmotionskillsincludingbody,eyesandmuscles,Iwillreportonmyanalysisofwheretheexperiencedexpertswatch,andwhichbodypartstheyuseaswellasitstimingtofocustheirpowerwhentheycutwood.ここでは,木材切断技能について,熟練者の巧緻性を記録し,身体動作や視線位置,筋力などから,「どこを見て,どこに,どのタイミングで力を入れて切断道具を操っているのか」を解明してきたことを報告します。今回は,熟練者の切り始めの動作について説明します。木材を切断しようとすると,材に描かれた線を見ながら切断することになります。図1に熟練者が切り始めはどこを見ていたのかを捉えたアイカメラ映像を示します。この図から,前後の視線移動が左右より大きいことがわかります。また図2には,熟練者と未熟練者の前後と左右方向の視線移動の違いを示しました。この図から,熟練者は,前後と左右の視線の移動が未熟練者に比べ大きく異なっていることがわかります。つまり,熟練者は,切断線をよく見て切っていることがわかりました。ところで,板材?角材とも,4面に描かれた線に沿って,ずれないように切断する必要があります。通常は,材の下側の線は見えませんので,板平面に加え,奥側及び手前側の面に描かれた線も見ながら切断すると線どおりに切りやすいです。特に,切り始めは奥の面に描かれた縦の切断線を見なければ,のこぎりが切断線から傾くなどしてしまいます。わたしたちの研究によって,熟練者は奥側の線を確実に見るため,切り始めには,のぞき込むような姿勢をとっていることがわかりました。これは,図1でも,板の前方に視線があることからもわかります。図1 熟練者の木材切断における切り始めの視線位置図2 木材切断時の熟練者と未熟練者の左右と前後方向の視線移動の違い?プロジェクトリーダー 橋爪 一治KazuharuHashitsume(学術研究院教育学系?大学院教育学研究科担当?教授)11研究者紹介概 要本研究は,木材加工の高度な熟練技能イメージの獲得を,わたしたちが解明してきた巧緻モデルを参考に,VR技術と力覚情報等を用いて学習者に仮想感覚として,あたかも「学習者自身が熟練者に成り代わって熟練の技を振るっているかのような体験」をさせることで達成することを目指しています。この方法が確立すれば,「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ことができる新しい技能訓練法になります。特色?研究成果?今後の展望これまでに,木材切断技能について,熟練者は,「どこを見て,どこに,どのタイミングで力を入れて切断道具を操っているのか」を解明してきました。例えば,切りはじめはどこをみればよいか,そのための姿勢や材料を置く位置はどこが適切かなど,これまでの教科書には示されていない技能の重要なポイント(コツ)を発見してきました。社会的実装への展望研究成果は,中学校の教科書に反映されるように意見を述べています。本研究は,木材加工分野のみならず,すべての加工技能,さらには,書字等日常の幅広い技能への応用が可能であり,技能教育に革新をもたらす画期的な指導法となる可能性があります。すでに書字障がいのある子どもへの書き写しに関する研究を進めています。手工具による木材切断技能に関する巧緻性の解明―視線位置の検討―Effects of gaze position on motor skills related to wood cutting by hand tools -Examination of gaze position-仮想現実を応用した感覚統合システムによる技能認知Development of a skill recognition system based on sensory integration using viartual reality

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