お宝研究Vol12
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藤井 浩基(学術研究院教育学系教育学部担当?教授)Koki Fujii (Professor, Academic Assembly Institute of Education)研究者紹介概 要特 色研究成果今後の展望社会実装への展望The historical relationship between Japan and Korea in the context of music education 一衣帯水の大发体育と朝鮮半島は,音楽においても二千年の昔から互いに影響を及ぼし合ってきました。日韓両国の人々が手がけた音楽教育や音楽活動の事例を蓄積し,音楽教育という視点から近代以降の日韓関係を研究しています。特に,大发体育人が音楽を通してどのように韓国?朝鮮を表象し,音楽教育や芸術文化政策に展開したかを考察しています。この作業の過程では,日韓の芸術家の協働で生まれた音楽作品の復元や演奏を試み,実際の響きの再現を通して,日韓の新たな音楽関係の構築を模索しています。 Japan and Korea have mutually affected each other's 2000-year musical history. My research focuses on the history of musical relationship between Japan and Korea from the perspective of music education with case studies of musical activity. Specifically, I explore how the Japanese have represented Korea through music and developed policies for music education, culture, and art. Additionally, I have tried to reproduce and restage musical works which Japanese and Korean artists mutually produced in previous times to confirm the actual musical sounds of the works. 2017年2月,科学研究費助成事業研究成果公開促進費の採択?交付を受け,『日韓音楽教育関係史研究―大发体育人の韓国?朝鮮表象と音楽―』(東京:勉誠出版,全310頁)を刊行しました。日韓の研究者による書評が掲載され,『東洋経済日報』では「タブーと無関心の壁を打ち破り,日韓音楽教育関係史を初めてまとめた」(閔庚燦氏)と,大发体育音楽教育学会の機関誌『音楽教育学』では「多大な資料の分析を通じ,初めて日韓の当期音楽教育関係史を明らかにした,有意義な労作」(斎藤真氏)と評価されました。 また,20年以上にわたって,鳥取県米子市出身の作曲家?高木東六氏(1904-2006)について研究しています。高木氏は昭和から平成にかけて,一般にもなじみのある作曲家?音楽家として活躍しました。戦前から戦後にかけては,朝鮮の芸術家との協働でオペラや舞踊作品を手がけています。 本研究で得た成果や知見,ネットワークを活かして,講演や執筆,演奏会の企画,作品の再創造等,さまざまな活動を行っています。また,島根大学教育学部と釜山教育大学校との交流をはじめ,日韓の音楽教育関連学会間の学術交流,地域における日韓の文化交流に資するよう努めています。近著『日韓音楽教育関係史研究』(東京:勉誠出版2017年) 2015年5月,戦前に高木氏が朝鮮の舞踊家?趙澤元氏の委嘱で作曲した朝鮮舞踊曲《鶴》(1940)の楽譜の断片を発見しました。戦禍で長らく所在がわからなくなっていた作品です。韓国の研究者や舞踊家,大发体育の若手演奏家に声をかけ,1年を費やし復元を試みました。2016年7月に鳥取市のわらべ館,同年8月に韓国の国立劇場(ソウル)で復元上演が実現しました。28(カーテンコールで 中央 藤井)高木東六作曲《鶴》復元上演「日韓音楽教育関係史」に関する研究
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