お宝研究Vol12
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24大谷 浩(学術研究院医学?看護学系医学部担当?教授)橋本 龍樹(学術研究院医学?看護学系医学部担当?教授)内藤 貫太(学術研究院理工学系総合理工学部担当?教授)Ashiq Rafiq Mahamood(学術研究院医学?看護学系戦略的研究推進センター担当?助教)八田 稔久(金沢医大?教授),宇田川 潤(滋賀医大?教授),籠橋 有紀子(島根県立大学?准教授),中谷 陽子(島根県立大学?助教)松本 暁洋?小川 典子?古屋 智英(学術研究院医学?看護学系医学部担当?助教)Dereje Getachew?Nusrat Jahan?森山 茂(医学系研究科?大学院生)Hiroki Otani (Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing) Ryuju Hashimoto (Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing) Kanta Naito (Professor, Academic Assembly Institute of Science and Engineering) Ashiq Rafiq Mahmood (Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing) Toshihisa Hatta (Professor, Kanazawa Medical Univ)Jun Udagawa (Professor, Shiga Univ Med Sci) Yukiko Kagohashi (Associate Professor,The University of Shimane)Youko Nakatani (Assistant Professor,The University of Shimane)Akihiro Matsumoto,Noriko Ogawa,Motohide Furuya (Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing) Dereje Getachw,Nusrat Jahan, Shigeru Moriyama (Postgraduate Students, Graduate School of Medical Research)専任教員:研究協力者:研究者:センター長:兼任教員:研究者紹介概 要特 色研究成果今後の展望社会実装への展望Director : Elucidation of development of human body and organs for precision prevention from prenatal period 生活習慣病(より広くは非感染性疾患:NCD)の発症の原因や起こりやすさ(素因)に,胎生期の遺伝と環境の相互作用が深く関わることが知られています。私たちは,からだの大きさが同じ胎児でも臓器の大きさには2倍以上もの個人差があることを明らかにしました。生まれ持った臓器の大きさは臓器全体の機能の「余裕」の大きさに直結し,小さな臓器(余裕)は将来の病気の素因にもつながる,つまり生後数十年経って明らかになる「知られざる先天異常」とも考えられます。しかし,多くの臓器の大きさやお互いのバランスがどのように調節され,どのように病気の発症に関わるか,ほとんどわかっていません。私たちは,そのメカニズムを探っています。 Interaction between genetic and environmental factors during prenatal life has been deeply implicated in the etiology/predisposition of postnatal non-communicable diseases (NCDs). We previously reported a wide individual variation in the organ size in human fetuses of the same body size. The organ size after histogenesis is directly correlated with the ‘reserve’ of the total organ function, therefore, can be a predisposition of future diseases, and a small organ size may thus be considered as ‘unnoticed congenital anomalies’. However, very little is known on the mechanism to regulate organ sizes and balance among the organ sizes, or whether/how they are related with the actual onset of diseases. We are investigating the mechanisms involved in these events. 実際のヒト胎児の標本(京都コレクションと呼ばれる京都大学の標本コレクションのうち島根医大時代に移管された一部)を詳しく観察し,大きさを計測して,生後の病気の発症との関連を研究しているのは,おそらく本プロジェクトセンターが現時点では世界で唯一であり,とてもユニークな研究です。これまでに,胎児の臓器の大きさにある広い個人差を明らかにし,多くの臓器が成長する間の関係やバランスなどを数学的な方法を含めて解析して,それらの知見は世界的にも注目されてきています。また臓器の大きさがどのように決まるのかについて,細胞?組織レベルで,幹細胞が増え,さらに幹細胞から臓器ごとの特徴的な細胞が分化する過程を調節するメカニズムや,臓器の大きさの違いが生後の病気の発症に関わるかどうかを,動物を用いた実験により次第に明らかにしてきました。実は大发体育では出生時の体重が2500g未満の赤ちゃん(低出生体重児)の割合が他の先進諸国と比べて多く,さらに増加する傾向があり,中でも島根県は,低出生体重児の割合が全国でも高く,出生時体重が大发体育の全国平均より低いことが報告されています。これは将来大发体育の中でも島根県でNCDが発症するリスクが高い可能性を意味する重大な知見ですが,出生時低体重の原因は明らかでありません。胎児の成長に関わる最も基本的で重要な環境要因は栄養です。そこで,島根県における妊娠中のお母さんたちの栄養摂取の現状を明らかにするため,島根県立大学の先生,県立中央病院の助産師さんと共同して調査研究を始めました。これらの関連する研究は時間のかかる地道な研究ですが,着実に多角的な情報が得られることが予想され,生後の疾病の起こりやすさを包括的に理解し,その予防対策を考える手がかりにつながることが期待されます。臓器の機能には個人差があるヒト胎児における膵重量と頭殿長の関係からだの成り立ちと病気の発症の関係 これらの研究により,将来子供が病気になりにくい身体になるためのお母さんの妊娠前,妊娠中,授乳中の食事法の開発などにつながる可能性があります。また再生医療や移植医療において,バランスがとれ病気になりにくい再生?移植臓器の大きさの基準を示すことが期待できます。胎生期からの「先制医療」へ向けたからだ?臓器の成り立ちメカニズムの解明Project Center for Comprehensive Research on Congenital Anomalies先天異常総合解析プロジェクトセンター
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