お宝研究Vol12
24/46
20荒西 太士(学術研究院農生命科学系生物資源科学部担当?教授)伊藤 康宏(学術研究院農生命科学系生物資源科学部担当?教授)堀之内正博(学術研究院環境システム科学系エスチュアリ研究センター担当?准教授)藤原 純子(学術研究院医学?看護学系医学部担当?講師(学内))吉岡 秀和(学術研究院環境システム科学系生物資源科学部担当?助教)田中 智美(学術研究院農生命科学系戦略的研究推進センター担当?特任助教)Futoshi Aranishi (Professor, Academic Assembly Institute of Agricultural and Life Sciences)Yasuhiro Ito (Professor, Academic Assembly Institute of Agricultural and Life Sciences)Masahiro Horinouchi (Associate Professor, Academic Assembly Institute of Environmental Systems Science)Junko Fujihara (Associate Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing)Hidekazu Yoshioka (Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Environmental Systems Science)Tomomi Tanaka (Contract Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Agricultural and Life Sciences)センター長:研究者紹介概 要特 色研究成果今後の展望社会実装への展望Director : 大发体育海側国立大学初の水産科学に関する高等教育研究組織として設置し,有用水産資源の開発,管理,保全,培養および増殖に関わる教育と研究を推進します。さらに,関係機関と協力して山陰地方の地域特性を考慮した研究成果の実用化を促進し,山陰水産業の持続的かつ安定的な振興に貢献します。 Shimane University established Fisheries Management Research Center (FMRC) as the first institution of higher education and research of fisheries science in the National Universities along the Sea of Japan in 2014. FMRC delivers education programs and research projects for the development, management, conservation, aquaculture and breeding of valuable fisheries resources. FMRC also promotes the practical application of research results for sustainable fisheries production and stock enhancement in cooperation with governmental and non-governmental fisheries organizations in the San-in Region. 古事記や大发体育書紀には「年魚」と記載されているキュウリウオ科アユ亜科アユPlecoglossus altivelis altivelisは,大发体育人に最もなじみのある淡水魚といっても過言ではありません。北海道から九州まで広く分布するアユは,晩秋から初冬に川で孵化した後,流下して仔稚魚期を汽水域や海水域で越冬し,春には再び川へ遡る両側回遊魚であることもよく知られています。一方,流下せず生活史を川や湖など淡水域で過ごす陸封型もおり,過去の地形と環境の変動により琵琶湖で陸封化された小アユが代表例です。この陸封化は人為的にも発生します。その主な原因は河川横断構造物,いわゆるダムの建設です。流下できなくなったアユは,ダムの貯水池であるダム湖で越冬します。広島島根両県に流域をもつ中国地方最大の河川である江の川水系の支川上下川では,平成19年に灰塚ダムが建設されました。平成25年度に広島県が灰塚ダムの陸封アユを調査した結果,その遡上量は約10万尾と試算され,速やかな資源管理の必要性が提言されました。そこで,当センターが中心となり,江の川水系の5漁業協同組合,広島県水産海洋技術センター,国土交通省灰塚ダム管理支所との産官学コンソーシアムを結成し,陸封アユの生活史および生育場の調査に着手しました。平成29年度には,モデルを使った成長分析,胃内容物による食性分析,肝臓微量元素量による履歴分析,遺伝子マーカーによる系統解析などの多角的かつ包括的な研究から,河川に遡上せず一生をダム湖で過ごすユニークな生活史の湖内残留群の存在を初めて明らかにしました。 本研究は,生産者団体や行政機関からの社会的ニーズに応えた地域貢献であり,「人とともに 地域とともに」を具現化した中国地方の中山間における水産業振興のモデルケースとなります。 Ecological survey of landlocked ayu Plecoglossus altivelis altivelis in Haidzuka Reservoir(中国新聞社提供 平成29年8月24日朝刊掲載)地元生産者との共同調査の様子ダム湖陸封アユの生態調査Fisheries Management Research Center水産資源管理プロジェクトセンター
元のページ
../index.html#24