お宝研究Vol12
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16藤田 恭久(学術研究院理工学系総合理工学部担当?教授)笹井 亮(学術院環境システム科学系総合理工学部担当?准教授)藤村 卓也(学術院環境システム科学系総合理工学部担当?助教)Yasuhisa Fujita (Professor, Academic Assembly Institute of Science and Engineering)Ryo Sasai (Associate Professor, Academic Assembly Institute of Environmental Systems Science)Takuya Fujimura (Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Environmental Systems Science)センター長:研究代表者:研究者紹介概 要特 色研究成果今後の展望社会実装への展望Director :Leader : 本研究では,呼気中に含まれる疾病由来の化学物質(呼吸器疾患:NOやCO,糖尿病:アセトン,肝疾患:アンモニアなど)の存在を材料の色調や発光特性の変化により視認できる(視える化)材料の実現を目指しています。そのために層状複水酸化物(LDH)という陰イオン交換性層状化合物の層間に特定の化学物質を吸着させることのできる場と,特定の化学物質が吸着した場合に濃度などに応じた色調や発光の変化を示す色素分子を共存させた材料を創製しています。現在までに呼気のような高湿度下でアンモニアや二酸化窒素を検知できる材料を実現しています。 In this project theme, we attempted to develop the sensor materials, which can visualize the specific chemicals linked with disease in breathing by the change of color tone and/or luminous property. To achieve this purposes, we prepare the hybrid solid materials of ‘unique adsorption nano-field,’ which is formed by amphiphilic compounds, and dye molecules, which can be responded to the change of surrounding environment, with layered double hydroxide (LDH), which is one of anion-exchangeable clay minerals, and then, the prepared hybrid materials are characterized by various analytical method. As results, we succeed in preparing the hybrid materials, which are detectable the existence of ammonia or nitrogen dioxide under higher relative humidity condition. 私たちはLDHの層間に両親媒性化合物と環境応答性を示す発光性色素を複合化することにより,発光性を示す複合材料の創製に成功しています。この複合材料は,ガスセンサーなどに現在用いられている半導体センサーが不得手とする高湿度下で,悪臭分子のアンモニア,酒気分子のエタノールや酸性ガスの二酸化窒素などを,発光の有無および色調により検知する能力を有することを特色とするものです(図1)。この材料の現在の問題点は,粉末試料であるためデバイスに容易に組み込むことができないことです。そのため現在私たちは,この複合材料の膜化法の確立を目指した研究を展開しています。それとともに複合化する両親媒性化合物や色素の種類および量比などを精査することで,検知できる化学物質の種類を増やすための研究を進めています。これらの課題をクリアし,様々な化学物質に対して検知能を示す粉末状の複合体が得られれば,確立した膜化技術によりデバイスに組み込むことが可能な材料が実現できることとなります。その結果,今後は呼気中の特定化学物質を検知するための簡易診断装置の実現が期待できます。 本研究の成果は,研究テーマ名にある呼気診断用の素材を創製できるばかりでなく,福祉?介護の補助となるセンサー,デオドラント分野などの大気中の化学物質検知分野への応用が期待できます。さらに本研究で得られる材料は水の存在を必要とする点から,水中に存在する分子検知への展開が期待でき,環境モニターなどへの応用も期待できます。R&D of Senser Materials for Disease Diagnosis by Breathing図1.本研究で作製した複合材料の色調変化の様子を説明する図呼気による疾病診断を目指したセンサー材料の研究開発Nanotechnology Project Centerナノテクプロジェクトセンター
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