お宝研究Vol12
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(円)250200150100500192.34107.44(円)250200150100500175.15101.33情報与える前情報与えた後情報与える前情報与えた後高血圧患者ポジティブ情報を与えた時の減塩への金銭的価値(円)高血圧患者ネガティブ情報を与えた時の減塩への金銭的価値(円)(***)(***)情報与える前情報与えた後情報与える前情報与えた後高血圧でない人高血圧でない人(***)(***)144.9467.51126.1864.712並河  徹(学術研究院医学?看護学系医学部担当?教授)赤井 研樹(学術研究院医学?看護学系地域包括ケア教育研究センター担当?講師)木島 庸貴(学術研究院医学?看護学系医学部担当?助教)磯村  実(学術研究院人間科学系人間科学部担当?教授)Toru Nabika (Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing)Kenju Akai (Associate Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing)Tsunetaka Kijima (Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Medicine and Nursing)Minoru Isomura (Professor, Academic Assembly Institute of Human Science)Project Leader :Leader : プロジェクトリーダー:研究代表者:研究者紹介概   要特   色研究成果今後の展望社会実装への展望 この研究の目的は高血圧罹患者と非罹患者の減塩への金銭的価値を比較することです。選択型実験法を用いた全国規模のインターネットアンケート調査により,高血圧にかかっている人と高血圧に一度もかかったことのない人のうち20代以上の男女を人口比率に従って集めました。実験の結果,増塩が血圧を上げるネガティブ情報よりも減塩が血圧を下げるポジティブ情報の方がどちらの群でも減塩の価値を増加させることがわかりました。 This study investigates the monetary value for the reduction of salt for patients with hypertension and general people without hypertension. A choice experimental method is employed and the more than 2000 subjects for each group answered in the internet survey. The result shows that the positive information that the reducing salt reduces the blood pressure has more positive impact to the value for each group than the negative information that the increasing salt induces hypertension.  この研究の目的は高血圧罹患者と非罹患者の減塩に対する金銭的価値を比較することです。研究の背景には減塩を通した高血圧の予防があります。大发体育人の塩分量は世界的に見ても高水準にあり,国民全体の減塩を通した高血圧予防が医療費削減の上でも健康維持の上でも重要性が増しています。研究対象者として,全国規模のインターネットアンケート調査により,高血圧にかかっている人と高血圧に一度もかかったことのない人のうち20代以上の男女を人口比率に従って集めました。高血圧の有無は血圧,通院歴,投薬の有無で選別し,高血圧にかかっている人2000名,高血圧にかかったことのない人3000名以上から回答を集めました。アンケートの手法は選択型実験法(チョイスメソッド)と呼ばれる商品やサービスの価値を計測するための経済的なアンケート手法で2010年にノーベル経済学賞を受賞した手法です。まず,お昼に食べるお弁当を想定し,栄養素と塩分と価格の構成が異なる2種類のお弁当を選んでもらいました。2種類のうちの片方は減塩のお弁当です。この選択を値段や栄養や塩分量を変えながら繰り返した後に,高血圧の基礎知識と減塩の必要性を説明する情報を与えます。情報の与え方を2通りに分け,1通り目は減塩が血圧を下げるポジティブな情報を,2つ目は増塩が血圧を上げるネガティブな情報を与えました。情報提供後,改めて先と全く同じ選択型実験法を繰り返して,減塩の価値を計り直しました。実験の結果,まず,情報が与えられる前では,減塩の価値は高血圧群の方が非罹患群よりも高いことがわかりました。次に,増塩が血圧を上げるネガティブ情報よりも減塩が血圧を下げるポジティブ情報の方がどちらの群でも減塩の価値を増加させることがわかりました。この結果が意味することは,塩分を摂取するネガティブな側面を強調するよりも,減塩による血圧減少のメリットを説くポジティブな情報の方が高血圧罹患者の減塩促進には効果的であるという点です。 今後は実際に学食などを通した減塩の食事介入を通して,若い世代の減塩が実際に達成可能かを検証していきたいと思います。  この研究は疾患?疾病の予防で今後医師が発信すべき医療情報がどういうものであるべきかを考える上で有用な情報を与えてくれています。患者さんの恐怖心をあおるネガティブな情報提供よりも,患者さんの努力が報われることを強調するポジティブな情報を与えることの方が,患者さんの疾病?疾患の予防行為に対する価値を高めることにつながると考えるため,喫煙?飲酒?肥満などの生活習慣病への応用も期待されます。Project for enhancing the value for reducing salt for Japanese大发体育人の減塩価値増加プロジェクト大学と地域を結ぶ現場密着型の学際的研究教育ネットワークの確立と地域医療リーダーの育成Field interdisciplinary study for education of leaders associated between academia and residents

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