お宝研究Vol12
10/46
6横田 正幸(学術研究院理工学系総合理工学部担当?教授)下舞 豊志(学術研究院理工学系総合理工学部担当?准教授)Masayuki Yokota (Professor, Academic Assembly Institute of Science and Engineering) Toyoshi Shimomai (Associate Professor, Academic Assembly Institute of Science and Engineering)Project Leader : プロジェクトリーダー:研究者紹介概 要特 色研究成果今後の展望社会実装への展望図1.配向の悪い自動車ボディパネルの表面形状 (凹凸が大きくゆず肌が生じている。) 自動車ボディパネルの多層塗膜中に分布する光輝材(アルミフレークと呼ばれる金属片)の分布を低コヒーレンスディジタルホログラフィにより解析します。塗膜中の光輝材の分布は,塗装の仕上がりに大きく影響します。数種類の自動車パネルについて光輝材の深さ分布,分布のムラについて測定しました。その結果,塗膜の仕上がりは光輝材の深さが関係していることが分かりました。今後は,塗料の乾燥過程中の光輝材の分布を測定する方法を研究する予定です。 Distribution of aluminum flakes included in the multilayer coating films of a car body has been analyzed by using low-coherence digital holography. The appearance of the car body has been greatly affected by the distribution of aluminum flakes in the film. Several car body panels having different specifications have been tested and it has been shown that the appearance of the car body panel might be related with the depth distribution of the flakes. The distribution of aluminum flakes in the drying state will be monitored in future work. 低コヒーレンスディジタルホログラフィにより車体用パネルに施された多層塗膜を解析しました。実際の自動車と同等なパネル片を使い,その表面及び内部の構造をホログラフィにより得られた再生像の強度画像(見た目の画像)と位相画像(形状)から評価しました。その結果,位相画像を用いて塗膜表面の欠陥の一つであるゆず肌とみられる構造を計測する(図1)と同時に,塗膜表面から数10mmの深さに分布する光輝材(アルミフレーク)が検出できました。従来の方法で評価した光輝材の配向が良いものと悪いものを比較すると,配向が良い場合に比べて,悪いものは光輝材の深度が深く,また横方向のばらつき具合が異なるという結果を得ました(図2)。さらに,光輝材の配合や色材の異なるパネル数枚を同様な手法で測定し,光輝材の横方向,深度方向の分布具合を可視化することができました。今後は,乾燥過程中の塗膜に含まれる光輝材がどのような挙動を示すのかについて,測定の高速化を図りその挙動を追従できるよう測定系を進化させる予定です。これができれば,自動車業界の工程における光輝材のムラや欠陥の制御につながり,工程数の軽減や更なる塗装の高度化に寄与すると考えています。 本研究は,多層塗膜の統合的な解析方法の確立を目指すもので,自動車を含む様々なボディパネル塗装の解析及び工程の改善,真空パックの多層膜等の高度化,効率化に貢献できると考えています。Analysis of a cal body panel having multilayer coatings by using low-coherence digital holography図2.配向の悪い自動車ボディパネル中のアルミフレーク の深さ分布(深さ60μm以上に分布している。)低コヒーレンスディジタルホログラフィによる自動車ボディパネル多層塗膜の解析Development of the integrated measurement systemfor analyzing drying and hardening processes統合的な乾燥?硬化解析システムの開発
元のページ
../index.html#10