お宝研究vol.11
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3骨欠損部構造データジャストフィットな移植骨切削パス移植骨内尾 祐司(医学部?教授)今出 真司(医学部?助教)古屋 諭(島根県産業技術センター?専門研究員)中澤 耕一郎(島根県産業技術センター?主任研究員)持田 修司(株式会社オネスト?技術課長)Yuji Uchio (Professor, Faculty of Medicine)Shinji Imade (Assistant Professor, Faculty of Medicine)Satoshi Furuya (Senior Researcher, Shimane Institute for Industrial technology)Kouichiro Nakazawa (Chief Researcher, Shimane Institute for Industrial technology)Syuji Mochida (Chief of Technology Division, HONEST Co., LTD.)研究代表者:グループ紹介概   要特   色研究成果今後の展望社会実装への展望Leader :  骨折では時に骨が粉砕し骨が欠損する場合があります。そのような骨折の治療では,十分な整復と固定力を獲得するために欠損部を補填する必要があります。患者さん自身の骨や人工骨を補填材として用いますが,その形成は医師の手作業であり完全な補填はできていません。私たちは骨部材の正確な形成を目的に医療用三次元加工機を開発していますが,臨床現場では限られた時間内に絶対の安全性を担保した作業が要求され,その点で既存のCAM※では対応できませんでした。そこで,医療現場での骨三次元加工に利用することを前提とした新規のCAMを開発しました。※CAMとは,「Computer Aided Manufacturing」の略であり,加工プログラム(工作機械用制御プログラム)の作成などをコンピュータ上で行うシステムのこと。 The treatment of a comminuted fracture occasionally requires bone grafts to stabilize the fragments rigidly. However, it is difficult to conform a bone graft completely to the host site because it is trimmed with the hand working by the doctor. To resolve this issue, we are developing a novel medical fraise for three-dimensional use, but there has been no CAM system appropriate for such a machine so far, since it is mandatory to fabricate the graft within the limited time with absolute safety, which has been impossible with the existing CAM. In this project, we developed the dedicated CAM for the medical fraise to meet the requirement.【特色と研究成果】 「骨折治療現場に改良した工業機器を導入し,高精度な手技で医療の向上を目指す」という当教室の試みは国内?外を見ても他に例がなく,従ってそのような特殊環境での仕様を前提とした専用のCAMも他にありません。本CAMを医療用三次元加工機に搭載することで,手術中に抽出した骨欠損部の形状をその場で電算処理し,短時間で安全にという医療独特の要求を満たしつつ,最適な切削パスを加工機へ送ることが可能となります(図1)。【今後の展望】 現在,私たちは「骨」から作った「骨ネジ」を用いた骨折治療の臨床研究を実施しています。これに本研究で開発したCAMを応用することで,骨折治療を種々の用途で支援する「骨折治療支援システム」の構築を目指します。  3Dプリンタによる造型技術開発への応用も期待できます。図1:手術中の骨三次元加工処理の流れ専用CAM医療用三次元加工機医療用三次元加工機専用CAM(コンピュータ支援製造)開発Development of the dedicated CAM (Computer Aided Manufacturing) for the medical fraise

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