お宝研究vol.11
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34鈴木 優章(総合理工学研究科?講師)Masaaki Suzuki (Lecturer, Interdisciplinary Graduate School of Science & Engineering)研究者紹介概 要特 色研究成果今後の展望社会実装への展望 有機化学の最重要概念のひとつである芳香族性は,身近にある様々な機能性材料の安定性や応答性も支えています。本研究では,有機化合物の芳香族性に基づく諸物性を追究していく上で直面する問題点を,平面性という本来の定義を空間性という上位概念に昇華させることで克服するべく,新しい三次元π電子系モデルを創製する有機合成化学を展開しています。 Aromaticity, one of the most important ideas in the field of organic chemistry, is indispensable for development of everyday-use functional materials from the aspect of stability and responsiveness to various stimuli. Our research interests are concerned with organic syntheses of novel aromatic compounds dealing with three-dimensional π-electronic-system models which overcome several problems arising from planar molecular frameworks and expand the concept to the higher dimension. 有機化学の大いなる使命のひとつは,新しい炭素原子と炭素原子のつながりを生み出すことです。“亀の甲”と称されるベンゼン環は有機化学を象徴する形状ですが,芳香族性という有機化合物の性質を根幹的に発現する構造です。この中をπ電子というものが非局在化,すなわち自由に往来できることが重要で,特定の原子同士のつながり=化学結合や空間的な位置関係をもっている場合に可能です。その基本骨格をもとに機能を向上させていくには,部分構造を付け足す,環を並べる,そして環を大きくする,といったアプローチがなされます。そのため出来上がった生成物は広い平面を持ち,重なりあって凝集しやすくなるので,溶解性が下がるなどして利用しにくくなります。それを防ぐためには平面同士が近づきにくいようになる部分構造を導入すればよいのですが,こうすると分子は次第に複雑になるばかりか,機能性そのものには直接貢献しません。 そこで私の研究では,拡張した芳香族平面が溶解性も高めるように並べる,あるいはゆがめてその両方を担わせることを目指しています。天然においては血色素や葉緑体中にも見られるポルフィリンという芳香族化合物を上記のようなアプローチで修飾し,その構造を詳細に解析したところ,予測できない骨格変換をともなった生成物に対する,通常起こり得ないような炭素-炭素結合形成反応によって,分岐した平面を持った三次元的な芳香族化合物が得られました。これを新たな機能発現に向けてのモデル分子とし,今後はさらに様々な三次元骨格を持った芳香族化合物を開発していきます。 有機エレクトロニクスや光線力学療法の分野への応用が期待できます。Organic Chemistry of Aromatic Compounds Exhibiting Three-dimensional Through-space Interaction空間相互作用による三次元性を有した新しい芳香族モデル化合物の合成研究総合理工学研究科
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