お宝研究vol.11
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31清水 悠(教育学部?助教)Yutaka Shimizu(Assistant Professor, Faculty of Education)研究者紹介概 要特 色研究成果今後の展望 本研究では,国内外の一流男子走幅跳選手29名から,模範となる動作(標準動作モデル)を跳躍タイプ別に作成し,指導に有効な動作の着眼点を明らかにしました。指導者は,主に6つの身体角度に着目することで,選手の跳躍タイプを簡便的に分類することができるとともに,各跳躍タイプのモデル動作を用いることで,より個人に適した効果的な指導が可能になることが期待されます。 The purpose of this study was to identify biomechanical characteristics of take-off preparation and take-off motions for elite male long jumpers in and out of the country which serve as a model (Standard Motion Model). Twenty-nine jumps were classified into 4 jumping types by observing 6 different take-off trunk angles: horizontal (H-type), semi-horizontal (SH-type), semi-vertical (SV-type), and vertical type (V-type). The H-type maintained a large horizontal velocity with the trunk leaning forward in the take-off preparation. The SV-type obtained larger vertical velocity by pivoting the body over the take-off foot during the take-off phase. We can make a more efficient way of coaching which fits each individual by utilizing each take off model. 走幅跳では,跳躍記録に差がないにも関わらず,踏切時に低く跳び出す選手や高く跳び出す選手など,跳躍タイプの存在が指摘されています。本研究では,踏切時の跳躍角に着目し,統計的な手法を用いて,跳躍タイプを分類するとともに,跳躍タイプ別のモデル動作を構築して特徴を明らかにしました。 図1は,低く跳び出す選手(H-type)と比較的高く跳び出す選手(SV-type)より作成した標準動作モデルのスティックピクチャーを示しています。踏切時の跳躍角に関連する動作特徴として,図1内に挙げた(a)~(f)の6つの動作着眼点を明らかにすることができました。H-typeは助走速度を活かした「スピードタイプ」,SV-typeは全身のバネを活かした「パワータイプ」を目指す選手の指導に有効であると考えられます。どちらのタイプでも同程度の跳躍距離を獲得することができる点が,本研究の面白いところです。 今後は,本研究で構築した各跳躍タイプのモデル動作とその着眼点を基に,実際の指導現場で利用し,その効果を検証していくとともに,走幅跳以外の種目にも応用していきたいと考えていますBiomechanical Study on Coaching Method of Long Jump by Standard Motion Model図1 跳躍タイプに関連する動作特徴標準動作モデルを用いた走幅跳の指導法に関するバイオメカニクス的研究教育学部
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