お宝研究vol.11
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9赤間 一仁(生物資源科学部?教授)西川 彰男(生物資源科学部?教授)Kazuhito Akama (Professor, Faculty of Life and Environmental Science)Akio Nishikawa (Professor, Faculty of Life and Environmental Science)研究代表者:グループ紹介概   要特   色研究成果今後の展望社会実装への展望Leader :  島根県の高齢化率(65歳以上の老人の割合)は平成25年度の時点で30.9%と秋田?高知県についで全国3位です。また,要介護?認知症の高齢者は3万人と推定されています。よって,高齢化に伴う不慮の骨折により寝たきりになった場合,筋肉が萎縮してしまい,骨折が治癒した後も寝たきりという悲惨な状況になりえます。無重力や寝たきりによって筋肉が萎縮する現象は廃用性筋萎縮と呼ばれ,リハビリテーション以外に対する効果的な治療法が確立されていません。寝たきりの予防や治療法の開発は,高齢化先進県である島根県が取り組むべき最重要課題の一つです。私たちは抗筋萎縮ペプチドCblinを含む米の開発に成功しており,その実用化は高齢化対策の一助になるものと期待されます。また,水産業は県の基幹産業の一つであり,付加価値の高いアユやニシキゴイなどの高級魚を短期間に効率良く養殖する上で,Cblin米含有の餌が有効に用いられるのでないかと考えています。 Proportion of the aged (over 65) in Shimane Prefecture is 30.9%, the third highest in Japan (2013): the number of the elder people who need nursing care and the aged with senile dementia is estimated to be 30,000. For bedridden old people, for example, caused by accidental fracture, skeletal-muscle atrophy is a severe problem. It is, therefore, one of the most important tasks that Shimane prefecture should tackle to fi nd a way to prevent and cure the problem which causes bedridden elders. However, there has been no established cure other than rehabilitation so far. We have succeeded in producing functional rice grains that contain Cblin peptide that acts as the anti-muscle atrophy agent, and expect to prevent muscle atrophy in the aged. Furthermore, Cblin rice would be used as an ingredient in the diet for valuable fi shes like Ayu (sweetfi sh) and Nishikigoi, in breeding them effi ciently and in a short period of time in Shimane.【特色と研究成果】 抗筋萎縮ペプチドCblinはDGYMPの5つのアミノ酸からなります。Cblinは無重量や寝たきり状態になったときに筋肉を分解する指令に関わるCbl-bを阻害するCbl-b Inhibitorから名付けられました (Nakao et al., 2009)。Cblinを15回タンデムに連結した人工遺伝子を作製して,イネの貯蔵タンパク質遺伝子に組み込みました。このキメラ遺伝子をイネ細胞に導入して,イネ個体に再生させました。収穫したお米を分析した結果,Cblinペプチド含有が観察されました。マウスやカエルの座骨神経を切除すると,筋萎縮を誘導できます。これらモデル動物にCblin米を投与した結果,コントロール米では20%程度の筋萎縮なのに対して,Cblin米投与群ではそれが10%程度に緩和されていました。【今後の展望】 マウスとカエルを用いた研究から,神経切除からマウスでは約2週間の投与試験で,約10%の筋萎縮の抑制効果があり,カエルでは1週間の投与試験により筋断面積の減少が約20%改善されました(図)。現在までに開発されているCblin含量の最も高い米は玄米100 g当りで約160 mgのCblin含有タンパク質を含んでいます。今後,栽培条件や高濃度Cblin米イネ系統の交配などにより,さらに高濃度のCblin米の改良を目指します。また,モデル魚であるゼルラフィッシュを用いた食餌試験を行い,養殖魚の餌としての価値を検討する予定です。 筋萎縮の予防に効果を持つCblin米の実用化によって,県高齢者のQOL(生活の質)が向上するだけでなく,付加価値の高い稲作農業の創生にも貢献するものと期待されます。図. 坐骨神経除去ツメガエルを用いた投与試験筋萎縮を予防する高機能性米の開発とその利用Development and application of functional rice that prevents muscle atrophy

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