お宝研究vol.11
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8波場 直之(総合理工学研究科?教授)山田 敏史(戦略的研究推進センター?特任助教)阿部 裕悟(戦略的研究推進センター?特任助教)Naoyuki Haba (Professor, Interdisciplinary Graduate school of Science and Engineering)Toshifumi Yamada (Full-time Contract Assistant Professor, Center for the Promotion of Project Research)Yugo Abe (Contract Assistant Professor, Center for the Promotion of Project Research)研究代表者:グループ紹介概 要特 色研究成果今後の展望社会実装への展望Leader : 私たちは,2012年に加速器実験により発見された新素粒子「ヒッグス」に関する理論研究を行っています。ヒッグスは,他の素粒子に質量を与えるという不思議な性質を持っており,その正体について全世界的な議論が行われています。ヒッグスは,宇宙の始まりに起こったとされる急激な空間の膨張「インフレーション」と関連する可能性があることが指摘されています。私たちは,ヒッグスの性質とインフレーションの機構の両面から,ヒッグスがインフレーションを引き起こす理論の提唱と,それらの加速器実験と宇宙観測による検証可能性の追究を行っています。 We are conducting a theoretical research on a newly-discovered elementary particle called “Higgs”, discovered in 2012 through a collider experiment. The Higgs has a mysterious property that it induces mass for other elementary particles, and there is a world-wide debate on its true nature. It is pointed out that the Higgs may be related to “in? ation”, a rapid expansion of space which is supposed to have occurred at the beginning of the Universe. We are presenting theories of how the Higgs drives inflation, and investigating their testability through collider experiments and cosmic observations. 私たちは,素粒子の質量の起源や初期宇宙の進化をめぐる基礎物理の研究を行っています。昨年8月と今年1月には,素粒子に質量を与えるヒッグスと呼ばれる素粒子を,より基本的な理論から導き出す新たな理論を提案し,こうした理論が将来,スイスの巨大加速器LHCでの実験等によって検証できることを示しました。現在,より簡潔な理論からヒッグスの起源を説明する論文を鋭意執筆中です。一方,初期宇宙に起こったとされる空間の急激な膨張「インフレーション」(図参照)に関して,従来考えられていなかった機構によってインフレーションが起こる理論を構築し,こちらも論文にまとめています。これからも,基礎物理への深い理解と斬新なアイディアをもとに,理論の提案と論文の発表を続けていきます。 ヒッグスの性質を加速器実験により解明することを目指し,次世代線形加速器ILCを大发体育に建設する計画が進行しています。ILCの核として現在開発が進められている超伝導加速空洞技術は,産業への転用も期待されています。Theoretical research on the Higgs fi eld and in? ation of the Universe図. インフレーションを含む宇宙の時間発展ヒッグス場と宇宙のインフレーションに関する理論研究Project of Higgs and early universeヒッグス?初期宇宙プロジェクト
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